No. 440 蠍のいる森 / 小池真理子 著 を読みました。
美千代は人間嫌いの図書館司書。英国人の夫と離婚して帰国した女流翻訳家、真樹子と知り合って初めて心の交流を持った。二人が共有する静かな日常に、ある日、奔放な人生をおくる修平が入り込んできた。三者三様に大都会で生きる男女のそれぞれの愛が進行するが、修平が資産家の老未亡人の財産を狙ったことから急展開し、恐怖の結末を迎えるラブ・サスペンス。
カバーの背表紙を転記
人間嫌いの図書館司書、美千代。
英国人の夫と離婚して帰国した女流翻訳家、真樹子。
二人が知り合ったことから始まるラブ・サスペンス。書き下ろしの文庫オリジナル。
サスペンスですが、謎解きよりも、登場人物の心理描写に主眼を置いた作品です。
ラブ・サスペンスと言うに相応しく、女性二人のそれぞれの恋愛が それは、それぞれ異なった恋愛観から繰り広げられるものですが 彼女たちらしく展開してゆくおもしろみがありました。
特定の理想的な異性が存在するのではなく、それぞれの個性に相応しい相手と展開される恋愛が象徴的です。
二人に限らず、高木修平の妹、博美や、阿久津絹枝など女性たちが自分の生き方を全うしてゆく姿は、羨ましくもあります。
2005年 4月 4日
No. 440