受動態

Daniel Yangの読書日記

2021-01-01から1年間の記事一覧

No. 666 零の晩夏 / 岩井俊二 著 を読みました。

零の晩夏 (文春e-book) 作者:岩井 俊二 文藝春秋 Amazon 零[ぜろ]の超写実画「晩夏」(油絵)。 2019年2月2日土曜日。 八千草花音[やちぐさ・かのん](30歳独身)は、職場の後輩=浜崎スミレから写真メールを受信する。 美術館に展示してある「晩夏」を…

No. 419 体は全部知っている / 吉本ばなな 著 を読みました。

体は全部知っている (文春文庫) 作者:吉本 ばなな 文藝春秋 Amazon 人は空想に遊びます。 素敵な出会いや、ハプニングを空想して、くだらない日常を紛らわしている自分に気づくことがあります。 でも、そんな突発的なことが起こらなくても、現実に僕は生きて…

No. 665 ウエストがくびれた女は、男心をお見通し / 竹内久美子 著 を読みました。

ウエストがくびれた女は、男心をお見通し 作者:竹内久美子 ワック Amazon ウェブマガジン配信サービス「フーミー」 で連載中のメールマガジン foomii.com 一年分を加筆、改題して、まとめた一冊。 学術論文をもとに、身近な問題の考え方を示す著者の真骨頂は…

No. 420 葡萄物語 / 林真理子 著 を読みました。

葡萄物語 (集英社文庫) 作者:林真理子 集英社 Amazon 生まれ育った土地で、ワインメーカーを経営する夫と彼の母親と同居する映子、三十四歳の物語。 ドラマチックか? と言えば、離婚し帰郷した派手な同級生の美和子に熱を上げる夫……程度の地味な恋愛小説で…

No. 664 トラベシア Vol. 6 いしあいひでひこのやさしい人生 / 鈴木並木 発行 を読みました。

普通に読める日本語の雑誌「トラベシア」は鈴木並木氏による自主制作雑誌。 第6号「いしあいひでひこのやさしい人生」 emls.jugem.jp は、Hatena Blog「國家は私達から、乙女の夢まで、取り上げてしまふのでせうか。」 andre1977.hatenablog.com を書いてい…

No. 422 性遍歴 / 松本侑子 著 を読みました。

性遍歴 (幻冬舎文庫) 作者:松本侑子 幻冬舎 Amazon 誰も教えてくれない。だからといって、誰かに教えてもらいたいわけでもない。 自分の欲望に耳を傾け、試行錯誤を繰り返す。五つの性の物語。 「性遍歴」 ノーマルな女性の中学から結婚後までの性遍歴 表題…

No. 663 嚙みあわない会話と、ある過去について / 辻村深月 著 を読みました。

噛みあわない会話と、ある過去について 作者:辻村深月 講談社 Amazon 認知的不協和が生活のあらゆるシーンで常態化している人の物語。 4編の短編集です。 認知的不協和 普通の人は、認知的不協和が生じたとき(現実ではなく)自分の認知を無意識に操作するそ…

No. 424 A 2 Z / 山田詠美 著 を読みました。

A2Z (講談社文庫) 作者:山田 詠美 講談社 Amazon たった二十六文字で、関係のすべてを描ける言語がある。それを思うと気が楽になる。 a ; accident で夫の一浩が愛人の存在を白状してから、z ; zip! でファスナーを閉じるまで。現役バリバリの編集者夏美の物…

No. 662 武士の家計簿~「加賀藩御算用者」の幕末維新 / 磯田道史 著 を読みました。

武士の家計簿―「加賀藩御算用者」の幕末維新― (新潮新書) 作者:磯田道史 新潮社 Amazon 「金沢藩士猪山家文書」という武家文書に、精巧な「家計簿」が例を見ない完全な姿で遺されていた。国史研究史上、初めての発見と言ってよい。タイム・カプセルの蓋を開…

No. 426 インストール / 綿矢りさ 著 を読みました。

インストール (河出文庫) 作者:綿矢りさ 河出書房新社 Amazon 高校三年生の野田朝子。自称変わり者。受験生になって一ヶ月。いわゆる五月病ではないけれども、昼食後の教室でちょっと愚痴ってみた。 「私、毎日みんなと同じ、こんな生活続けてていいのかなあ…

No. 661 プリンシプルのない日本 / 白洲次郎 著 を読みました。

プリンシプルのない日本 (新潮文庫) 作者:次郎, 白洲 新潮社 Amazon 「嵐の男」、そして「占領を背負った男」 戦後史の重要な場面の数々に立ち会いながら、まとまった著作は遺さなかった白洲次郎が、生前、散発的に発表した文章がこの一冊に。「他力本願の乞…

No. 429 冷たい校舎の時は止まる(下) / 辻村深月 著 を読みました。

このエントリーは上、中、下の三冊で刊行された新書版の下を読んでの記事です。 冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫) 作者:辻村 深月 講談社 Amazon 止まっていた時計が再び動き出すとき、クラスメイトが消えてゆく。冷たい校舎に閉じ込められた八人の…

No. 660 セクシィ・ギャルの大研究~女の読み方・読まれ方・読ませ方 / 上野千鶴子 著 を読みました。

セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫) 作者:上野 千鶴子 岩波書店 NHK 100分de名著 2021年7月はボーヴォワール「老い」を上野千鶴子が指南しています。 100分de名著 ボーヴォワール“老い” (2)「老いに直面した人…

No. 427 ダンス・ダンス・ダンス(下) / 村上春樹 著 を読みました。

ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫) 作者:村上 春樹 講談社 Amazon 下巻は、湘南、ユキの父親を訪ねたシーンから。 主題とは別に、僕はこの小説に、二つの感想があります。一つは、主人公の「僕」にとって子ども(法律用語を用いるなら卑属)と言える…

No. 659 鍵のない夢を見る / 辻村深月 著 を読みました。

鍵のない夢を見る (文春文庫) 作者:辻村深月 文藝春秋 Amazon どうして私にはこんな男しか寄ってこないのだろう? 放火現場で再会したのは合コンで知り合った冴えない男。彼は私と再会するために火を?(「石蕗南地区の放火」)夢ばかり追う恋人に心をすり減…

No. 423 ダンス・ダンス・ダンス(上) / 村上春樹 著 を読みました。

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫) 作者:村上 春樹 講談社 Amazon 一九八二年に出版された「羊をめぐる冒険」(講談社文庫1985/10/15に収録) 羊をめぐる冒険 (講談社文庫) 作者:村上春樹 講談社 Amazon の続編。 羊男と化した鼠は羊を体内に抱えて消…

リスト~当ブログ「受動態」でご紹介している本のリスト な行

リスト~当ブログ「受動態」でご紹介している本のリスト な行の作家作品 あ行はこちら か行はこちら さ行はこちら た行はこちら は行はこちら ま行はこちら や行~わ行はこちら な行 永江一石 658 ネットの中心でファクトを叫ぶ 2021/ 6/ 1 プチ・レトル 電…

No. 658 ネットの中心でファクトを叫ぶ / 永江一石 著 を読みました。

ネットの中心でファクトを叫ぶ 作者:永江一石 Amazon 月間200万PVの人気ブログ「永江一石のITマーケティング日記」からの電子書籍化第四弾!「ファクトから考える」をテーマにしたエントリーをまとめた注目の一冊。 消費税を無くせば景気は良くなる? 電子タ…

No. 425 冷たい校舎の時は止まる(中) / 辻村深月 著 を読みました。

このエントリーは上、中、下の三冊で刊行された新書版の中を読んでの記事です。 冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ) 作者:辻村 深月 講談社 Amazon 雪の校舎に閉じ込められた八人の生徒たち。本巻では、八人の生徒が徐々に減っていきます。冷たい…

No. 657 応仁の乱 / 呉座勇一 著 を読みました。

応仁の乱 戦国時代を生んだ大乱 (中公新書) 作者:呉座勇一 中央公論新社 Amazon 室町後期、諸大名が東西両軍に分かれ、京都市街を主戦場として戦った応仁の乱(一四六七~七七)。細川勝元、山名宗全という時の実力者の対立に、将軍後継問題や管領家畠山・斯…

No. 421 冷たい校舎の時は止まる(上) / 辻村深月 著 を読みました。

このエントリーは上、中、下の三冊で刊行された新書版の上を読んでの記事です。 冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫) 作者:辻村深月 講談社 Amazon 雪が降りしきる荒天の朝、私立青南学院高校に登校したのは深月を含め八人の生徒だけだった。閉じ込め…

No. 656 サイコパス / 中野信子 著 を読みました。

サイコパス (文春新書) 作者:中野信子 文藝春秋 Amazon とんでもない犯罪を平然と遂行する。ウソがバレても、むしろ自分の方が被害者であるかのようにふるまう……。脳科学の急速な進歩により、そんなサイコパスの能の謎が徐々に明らかになってきた。私たちの…

No. 428 フューチャー・イズ・ワイルド / ドゥーガル・ディクソン&ジョン・アダムス 著 を読みました。

フューチャー・イズ・ワイルド 作者:ドゥーガル・ディクソン,ジョン・アダムス ダイヤモンド社 Amazon 現代から、500万年後、一億年後、二億年後の地球を予測し、そこに住む生物をコンピューターグラフィックを駆使して描写した一冊。 進化論の概要は知っ…

No. 655 朝が来る / 辻村深月 著 を読みました。

朝が来る (文春文庫) 作者:辻村 深月 文藝春秋 Amazon 長く辛い不妊治療の末、特別養子縁組という手段を選んだ栗原清和・佐都子夫婦は民間団体の仲介で男子を授かる。朝斗と名づけた我が子はやがて幼稚園に通うまでに成長し、家族は平穏な日々を過ごしていた…

No. 284 堕落論 / 坂口安吾 著 を読みました。

堕落論 (角川文庫) 作者:安吾, 坂口 KADOKAWA Amazon 戦中、戦後に発表されたエッセイ十二編を収めた一冊。ページをめくりながら感想を述べてみます。 日本文化私観 1942/03。「現代文学」に発表された。森儁郎訳で1936年に明治書房から刊行されたタウト(ブ…

No. 654 悪のいきもの図鑑 / 竹内久美子 著 を読みました。

悪のいきもの図鑑 作者:竹内久美子 平凡社 Amazon おもしろかった。第1章「実はキビしい!社会の掟」第2章「おかしな性行動」第3章「悪魔の卵・生存競争」第4章「恐怖の操りと寄生」各章ごとに8~21の話題を各々数ページで紹介していて、気軽に読めて楽しい…

No. 430 光射す海 / 鈴木光司 著 を読みました。

光射す海 (角川文庫) 作者:鈴木 光司 KADOKAWA Amazon 入水自殺を図り記憶を失った若い女性と、彼女を取り巻く男と運命の物語。 彼女の運命を決定づける病気と、彼女を捨てた男が乗るマグロ漁船の操業現場を丁寧に取材し、過酷な環境を生きる人々と彼らが紡…

No. 653 シンジケート / 穂村弘 著 を読みました。

シンジケート[新装版] 作者:穂村 弘 講談社 Amazon 1990年10月に自費出版で刊行された著者のデビュー作 シンジケート 作者:穂村 弘 沖積舎 Amazon の新装版。 僕はKindleで買って読みました。 amazonに投稿したレビューこの世は愉快だ、と言い切れる生き方に…

No. 431 ワルツ / 結城信孝 編 を読みました。

ワルツ―アンソロジー (祥伝社文庫) 作者:田辺 聖子 祥伝社 Amazon 結城信孝の編集による、ユーモアをテーマにしたアンソロジー。 田辺聖子「紐」 田舎で暮らす青年と、かつて村にあった悪習?「夜這い」を自慢する親爺の物語。 現代都市生活者の画一化された…