受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 458 東京タワー / 江國香織 著 を読みました。

東京タワー (新潮文庫)

東京タワー (新潮文庫)

 
大学生の透は恋の極みにいた。年上の詩史と過ごす甘くゆるやかなひと時、世界はみちたりていた。恋はするものじゃなく、おちるものだ。透はそれを、詩史に教わった。一方、透の親友・耕二は、女子大生の恋人がいながらも、蠱惑的な喜美子に夢中だった。彼女との肉体関係に……。夫もいる年上の女性と大学生の少年。東京タワーが見守る街で、二組の対極的な恋人たちがが繰り広げる長編恋愛小説。
  カバーの背表紙を転記  
大学生の小島透と、高校時代の同級生耕二。年上の恋人がいる二人が、東京タワーが見える街で繰り広げる恋愛小説です。
大学生といえば、受験して、入学。クラブ活動にアルバイト、勉強や友達との付き合い。就職活動や就職。変化の激しい時期です。そんな彼らの恋人は、相対的に変化の乏しい(はずの)生活をしている年上の女性。タイプが違う二人が、それぞれタイプの違う恋人と、異なるタイプの恋愛をしています。穏やかに溺れて、直向きな透と、熱烈に、でも軽薄に逢瀬を重ねる耕二と。物語の展開も、順当に就職を決める透と、波瀾万丈になっていく耕二の生活の二本立てで面白く読めます。
周囲にも、自分たち自身も親友として認識している透と耕二ですが、耕二がピンチに陥ったときの透の態度に、男同士の友情のリアリティーを感じました。
2006年 9月 2日
No. 458