No. 585 コンカツ?/石田衣良著 を読みました。
主人公のハッピーエンドを願う
二九歳独身の健康な女性=岡部智香(ともか)が主人公の恋愛小説です。
劣等感が無い、さりとて、優越感を持つのでもない、自分のことを控えめに「恵まれている」「ラッキーだ。」と思える健康な女性です。
恵まれていて、ラッキーならば、素敵な恋愛&結婚をして、幸せになりたいっ(と僕は思う。)
と言うわけで、僕はハッピーエンドを期待して読みました。
いわゆる「女のダンディズム」を発揮する智香
でも、盛り込まれているエピソードは気を揉むモノばかり。
待ちきれずに、中程まで読んだところで、結末を少し読み、また戻って続きを読みました。
でも、
「どうして、そう言う結末になるの?」
「え?不幸になるの?」
「そういう、展開?」
と結末を知っているのに、プロセスが読めません。
単純なハッピーエンドを期待しつつも、読めない展開を楽しむ読書となりました。
特に、修羅場の入れ方が面白かったです。
成り行きで「女のダンディズム」を演じてしまう智香。
奇抜。なおかつ、説得力があり、
物語を動かす効果的なシチュエーションと役回り。
素晴らしいです。
リアリティー豊富な恋人との付き合い
また、今まで僕が恋愛で感じたことが、ほぼそのまま智香も感じており、リアリティーが強烈です。
「つきあい始めたときに気が付いていた、気になる点。好ましく思えない癖、趣味、センスがあった場合、どんなに努力しても、相手を変身させることはできない。自分が好ましいと思える恋人に改造することは出来ない。」
「条件だけで選んだ相手に後悔するときは、自分の好みを考えていなかったことに気が付く。」
「指を褒めたら、OKだ。」
全部盛り込まれていました。
自分にも、男にも、友達にも、前向きな態度で接する智香
僕の知り合いに、恋愛がうまく行かなかったときに、
自分の不利な点を数えて恋愛の失敗の理由として言い聞かせながら生きているような人がいます。
(自分に言い訳をする)
また、全て他人(当の恋人、または友人、知り合い、近所、親など)の責任にカウントして「だから、うまく行かなかった。」と納得するのが上手い人もいます。
(人を言い訳に使う)
そう言う人は、おそらく
「今日は、これで満足だ。」
と言う機会がないと思います。
いつも不満です。そして、自分の不幸を嘆いています。
言い訳を始めたら、その場で納得出来るかも知れないけれど、将来に向かって進展することも無いと思います。
ならば、いろいろ(自分についても、他人についても)言い訳ができそうな気がしても、言い訳はしない。
「自分はツイている。」
「案外恵まれている方だ。」
と自分に呪文を掛けて、前向きな方策を考えてみるのが良いと思う。
それが、自分の将来に待っているハッピーと出逢う扉を開けることになるのではないか、と思いました。
僕は、智香のように、
失敗は明日の糧、
トラブルは対処するモノ。
ポジティブな生き方で未来を切り開く彼女に乾杯する者です。
正直さは、人のためならず。
僕も、今の自分の状態を呪うよりも、この状態を
「神が与えた試練です。」
とうそぶいて
「制約がある方が、やる気がわくってもんだぜ。」
と元気にやっていこうと思いました。
「情けは人のためならず。(自分のためになるものだ。)」と言うことわざがありますが、
小説の主人公=智香の場合は、
さしずめ「正直さは、人のためならず。」
と言うところだろうと思います。
智香の言い訳をしない正直な生き方が、
正直な友人を呼び、
正直な恋人を惹きつけるのだと思います。
心に灯火が灯り、勇気が沸きました。