No. 446 ミスキャスト/林真理子 著 を読みました。
原岡俊明。三十八歳。商社マン。バツイチ。前妻との間に一人の子あり。現在は二人目の妻と二人暮らし。
そして、新たな出会いが。
あらかじめ断っておきますが、これから書く感想は、僕が何が何でも実現してやろうと意欲を燃やす願望ではありません。現実の僕は、一人の女性を相手にしているときでも、いっぱいいっぱいです(笑) そして、日常的には(結果として)孤独を愛し、気楽な独り暮らしに満足しております(涙)
その感想とは、「男として生まれたからには、原岡のように生きてみたい。」です(笑)
この小説で、原岡は、二度目の結婚をしているにもかかわらず、複数の恋人をゲットします。羨ましい原岡が、困難な恋愛を遂行する過程と、その結果を描いた物語がこの小説です。
よく「本当の私にあった仕事ってなにかしら。」と転職を繰り返す女性の話を耳にしますが、これは、その男版。男が本当の自分にあった伴侶を求める物語。と、読めないこともありません……。無理がありますね(笑)
例えば、「人として生まれたからには、常に恋愛にチャレンジしていたい。」とスローガンを掲げた人生を突き進むと彼のような物語が生まれるのかも知れませんが、願望では無く、そのような男に羨望を抱く男に、その実際をシミュレートし、無理な挑戦を諦めさせる物語とも読めました。と、言うのは、とてもじゃありませんが、明らかに疑われる状況を取り繕うための嘘をつき、矛盾を解消して行く原口のようなヴァイタリティーが、僕に無いことを思い知ります。
そして、この物語の結末は、ある意味(生物学的?)ではハッピーエンドなのですが、原岡に幸福感があるか? と考えれば、それには明らかに「ノー」と答えられます。彼のことを「ざまぁみろ。」と言う事も出来ます。
もっと歳をとって、あきらめがついた頃には、彼を笑って読み終えることが出来たのでしょうが、あるいは、もっと若い頃に読めば「ふーん、人生いろいろだなぁ。」と他人事として読むことも出来たのでしょうが、焦っているような(でも、焦っているようには見られたくない)、あきらめの付かない(そろそろ諦めた場合も考えておいた方が良いのだろうと思う)年頃の僕には、冷静に読み終えることの出来ない小説でした。
なんだか、変な感想文になりましたね。親切な友人(既婚)は、こういう文章を公開すると
「楊さん、そんな事書いていたら、いつまでたっても恋人出来ないよ。」
と助言をくれるのですが、彼女の親切を踏みにじっても、原岡の物語を楽しんで読んでいる自分のに気づくと、それを書いてしまう僕でした。
この小説は、他人事として読むと、とても楽しい小説です。
と助言をくれるのですが、彼女の親切を踏みにじっても、原岡の物語を楽しんで読んでいる自分のに気づくと、それを書いてしまう僕でした。
この小説は、他人事として読むと、とても楽しい小説です。
2005年5月23日
No.446
No.446