受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 634 言い寄る / 田辺聖子 著 を読みました。

言い寄る (講談社文庫)

言い寄る (講談社文庫)

 
乃里子、31歳。フリーのデザイナー、画家。自由な一人暮らし。金持ちの色男・剛、趣味人の渋い中年男・水野など、いい男たちに言い寄られ、恋も仕事も楽しんでいる。しかし、痛いくらい愛してる五郎にだけは、どうしても言い寄れない……。乃里子フリークが続出した、田辺恋愛小説の最高傑作。<解説・鴨居まさね
   カバーの背表紙を転記  
田辺聖子(1928~2019)四十五歳の時の作品。
1973年7月発行の「週刊大衆」で連載をスタートした「乃里子三部作」の第一作。
ちなみに、三部作の二作めは「私的生活」、
私的生活 (講談社文庫)

私的生活 (講談社文庫)

 
三作めは「苺をつぶしながら」
苺をつぶしながら (講談社文庫)

苺をつぶしながら (講談社文庫)

 
です。
僕が読んだのは、講談社から2007年に復刻出版されたものの文庫版。
巻末に当文庫収録にあたって著者の「あとがきに代えて」、鴨居まさね(漫画家)による解説が付いています。
 
6月6日の訃報に接し田辺聖子作品未読の読者に対して、この三部作を薦めるブログ記事姫野カオルコ周辺ブログ…運営&宣伝=KOGA工房6/10記事)
を読んで、僕も手に取りました。
 
物語は、乃里子が友人の美々から相談を受けて、逃げる恋人と対峙する春ころから、正月過ぎまでの約一年間が語られます。
 
50年近く前に描かれた小説ですが、特に違和感なく読めました。
乃里子の恋人の一人「剛」は、今で言えば、ダメんずと言うことになると思うのですが(暴力男)、こんな人が当たり前に社会的に高い地位に就いていた点が、現代とは異なるのかもしれません。
また、子どもをもうけることについて、妙に気楽なのも僕の感覚とは異なるのですが、それも現代(2019年現在)でも、人や地方によって千差万別だろうから、その範囲内だと思えます。
なので、僕はこの小説を「モテる女」の物語として楽しく読みました。
率直な感想は「モテるなら、相手を選べば良いのに。」です。
もっともモテる人は相手を選り好みしない特徴があるので、と言うか、相手を選り好みしない人がモテるわけなので、致し方ないのかな、と思うのですが。
いずれにしろ、そう気がつくのは、子どもをもうけるのには手遅れとなった後の初老に差し掛かってからなので、所詮モテる人もモテないひとも、戦略を選べるわけではなくて、成り行きに任せた人生を送ることになるのだな。
と言うのが、この小説を読んでの感想でした。
2019年 8月17日
No. 634