No. 626 4TEEN / 石田衣良 著 を読みました。
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。カバーの背表紙を転記
八編の連作集です。
- びっくりプレゼント
- 入院中のナオトへの誕生日プレゼント
- 月の草
- テツローが不登校になったクラスメートのルミナに学校の配布物を届ける。
- 飛ぶ少年
- クラスの問題児、関本謙が昼休みの放送係になり、様々なイベントを打ち上げる。
- 十四歳の情事
- ジュンの恋の話
- 大華火の夜に
- 東京湾華火祭を、とっておきの特等席で観る計画と、その顛末
- ぼくたちがセックスについて話すこと
- 森本一哉は、五人目のメンバーになるのか
- 空色の自転車
- ダイのおやじさんが死んで、ダイと弟が月島署で取り調べを受けている
- 十五歳への旅
- 三月の春休み中、房総半島の最南端・白浜を往復する二泊三日の計画と裏計画。
あとがき「四人の十四歳へ」によると、最初の「びっくりプレゼント」を書き始めたのが、1999年1月。池袋ウエストゲートパークII「少年計数機」が小説誌に掲載され始めたあとだそうです。
池袋ウエストゲートパークシリーズ以外の初めての執筆依頼と言うことです。
最後の「一五歳への旅」は書き下ろしで、2003年に執筆され、五月に単行本が出版されたそうです。足かけ5年で完結。
2003年上半期の第129回直木三五賞を村山由佳「星々の舟」とともに受賞。
僕は、この頃、ネット友達とオフ会と称して、月島のもんじゃ屋さんでもんじゃ焼きを食べ、同じく月島のボウリング場で貸してくれる着ぐるみと、持ち込みの着ぐるみも着てボウリングに興じていました。
amazonに投稿したレビュー
を転記します。
リアリティーがあり、シンパシーがあり、
「僕もこうありたい。」
と思うところがありました。
石田衣良の小説を読んでいて感じる安らぎが、初期のこの小説からも、既に醸し出されていることを知りました。
世の中、ハッタリでのさばる人が目に付く中、
クラスメートの仲間に対する誠実さと真摯な行動が、
困難な中学二年生を生き抜くのに有効だ、と信じられる小説でした。
誰かに
「助けて欲しい」
と思う、絶望の時に、
魔法のような助けは現れず、自分で頑張ることだけが有効打でしたが、
あとから考えて
「やっぱり俺は助けられていた。」
と思うのは、金でも、権力でも、暴力でもありませんでした。
「微力でも、できる事をしておこう。」
という友情でした。
歳を取った今、この小説の四人の友情にリアリティーが感じられます。
2019年 4月13日
No. 626