No. 455 PAY DAY!!! / 山田詠美 著 を読みました。
ペイ・デイ、給料日。それは、何があろうと、ほんのちょっとだけ、みんなが幸せになれる日。双子の兄と妹は高校生。ちょっと不器用、でも誠実に生きている二人に訪れる、新しい出会い。別れ。恋。家族の問題。そして、大切な人の死……。新たな青春小説の古典の誕生! ゆったりと美しいアメリカ南部を舞台に、たくさんの生といくつかの死が織り成されていく、堂々たる長編小説。カバーの背表紙を転記
双子の兄妹、ハーモニーとロビン。アフリカ系の父レイとイタリア系の母ソフィアの離婚により、離れて暮らしている二人。
兄妹は十六歳。教師の父と証券会社で働く母のもとで、そこそこ裕福な家庭に育った二人は、さりとてアイビーリーグを目指すようなエリート指向でもなく、有り体な言い方をしてしまえばふつうの子供。ストリートミュージシャンを気取るハーモニーと、旅行先で恋に落ちるロビン。彼らを、ふつうの子供と言って良いのかどうだかわからないけれど、でも、この物語で、時に傷つき、時に喜び、多感な時期を人と多く接触しながら大人になってゆく二人は、あまり人間関係について家族と話したことのない僕の子供時代を振り返ると、まるで「人間関係のエリート」の見本、それは教科書的と言っても良いほど優れた成長過程のように読めました。
実際、対人関係能力って、義務教育の課程に教科書があるわけでも無いし、教わることはほとんどありませんでした。
しかし、この物語を読むと、「こうして、学ぶのだ」と言うことがわかりました。
2006年 5月 5日
No. 455
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