No. 461 変身願望 / 鎌田敏夫 著 を読みました。
幼稚園教諭の美知子は、青年医師・真一と交際中。しかし、人も羨む彼氏なのに、美知子はどうしても最後の一線を越えることができない。いつもキス止まりのデートに苛立つ真一に、美知子はとっさに嘘をついた。”私には双子の妹がいるのよ”。普段は化粧をしない美知子が鏡に向かった。生真面目な姉から奔放な妹・美也子に変わるために……。(「変身願望」より)カバーの背表紙を転記
みんなの中に埋もれていたい。自分の個性を輝かせてみたい。二つの揺れ動く願望のバランスを如何に取るか。普通じゃ出来ない二つの顔を、普通の女性が経験してしまったら? 恋人との関係で図る女性の物語。
- AV
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レンタルビデオ屋さんに行けばいくらでもある。と言うことは、出演している人もたくさんいる。そんな彼女と自分の違いは何か。積極性を必要としない=受動的な行動で飛び込んでいけた彼女の不満がもどかしかったです。
- 変身願望
- こちらは、衝動的に出た嘘をバネに挑戦した彼女の積極性が面白かったです。
- ショッピング
- どこまでが、二人で共有できる甘い秘密で、どこからが、許せないアブノーマルさなのか。探る二人の親密さが楽しい。
- 化粧
- 恋人と親友。限られた人間関係の中で発揮される眠っていた自分を呼び覚ます、その安心感が甘い一遍でした。
- 色気のない女
- 学校では教えてくれない恋愛。もちろん色気とは何か。も。いっそのこと昔のように強制的にお見合いをさせてしまえば良いのに。と、端から見て心配になる彼女が、それでも自分で学習していく姿が健気でほほえましい一遍でした。
学校に行けば勉強させられるし、習い事に通えば習得出来る事って沢山あります。でも、そこには試行錯誤がありません。この一冊では、普通の女性が自分の幸せを探して試行錯誤して、自ら成長していく姿が微笑ましい物語でした。
2006年11月5日
No. 461
No. 461