受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 456 電車男 / 中野独人 著 を読みました。

電車男 (新潮文庫)

電車男 (新潮文庫)

 
2004年春から夏にかけて、2ちゃんねる(現「5ちゃんねる」)でのやりとりから世間一般に話題が広がったもの。
やりとりは、
「カテゴリ雑談」
>「独身貴族」
>「男達が後ろから撃たれるスレ 衛生兵を呼べ」
で行われたものだそうですが、現在はこの物語がヒットしたため機能していないようです。ていうか、もともと恋人のいない男の人同士(を戦闘中の軍隊に見立てて)が、カップルの行為を報告して(後ろから攻撃を加えて)、憂鬱になる(負傷する)ことを目的にした雑談の場なので、一般に小説を読むような人が足を踏み入れるところではありません。

本書は、これらのやりとりをボランティア?がまとめたサイト男達が後ろから撃たれるスレ 衛生兵を呼べの【電車男 緊急指令 「めしどこか たのむ」】を出版したものです。では、著者の「中野独人」って誰?と疑問に思いますが、その件については本書の奥付に詳しく記されています。

長年彼女が居ないと、空想的な出会いから始まるラブストーリーを妄想しはじめたりします。たとえば、ハイヒールのかかとが折れて困っている女性に手持ちの瞬間接着剤を貸してあげた、とか、車がはねた泥が洋服について泣いている人に界面活性剤入りのウェットティッシュを差し出した、とか。
この物語は電車で酔っぱらいに絡まれている女性を助けたところから始まるラブストーリー。
「なんだぁ。」と思いましたが、リアリティー豊かにその後の展開が描かれる様は読み応えありました。
そもそも、「恋人と付き合う」ってどういう事かを説明してくれる人ってあまり居ないじゃないですか。例えば、「告白する」って、言葉の意味は「『あなたを好きになりました。』と言うこと」ですが、言ってどうする? と思いませんか。「デート」って何すれば良いの? 「プレゼント」って何を買ってどう渡せば良いの?
この小説では主人公「電車男」が、デートに誘ってから告白し、めでたくカップルになるところまでを具体的に描いています。
僕がこの一冊を読んでの感想は「付き合う」ってこういう事を言うのだなぁ。でした。
2006年 8月12日
No. 456