No. 423 ダンス・ダンス・ダンス(上) / 村上春樹 著 を読みました。
の続編。
羊男と化した鼠は羊を体内に抱えて消滅し、一緒に羊を探した女の子も去っていった。
それでも「僕」は生きている限りステップを踏み続け、ダンスを踊り続けなければならない。たとえ喪失感が「僕」を支配しても。そして「僕」は再びいるかホテルのある北海道へ旅立ちます。
つまり、僕(この受動態の筆者…ややこしいね(^_^;)は、再生の物語として、本書「ダンス・ダンス・ダンス」を読みました。失ったものが持つ価値とは何か。去っていった人は何を意味しているのか。
物語は一九八三年三月。主人公の「僕」は、三十四歳。何もかもを失い続けている「僕」から恋人が去ってゆく場面から始まります。
「ユキ」の父親や、刑事たちに注目してみました。
彼らは物語の中で特別な意味を持つ「僕」や「ユキ」とは対照的に俗物です。でも、それぞれに個性を持っています。そして「僕」や「ユキ」と深く、あるいは微妙に関わりを持ってきます。「僕」が踏むステップは、そんな俗物との付き合い方にも注意を払う事かも知れないと思いました。
眼鏡が似合うホテルのフロント係の彼女は、新月のように微笑を浮かべ「ユキ」を「僕」に託しました。
2004年 7月25日
No. 423
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