No. 526 ふちなしのかがみ/辻村深月 著 を読みました。
青春ミステリの気鋭、辻村深月が放つ、初の怪談。5編の短編集です。
- 踊り場の花子
- 花子さんが怖いです。悪いことは出来ないな。と思いました。もっともこんな悪いことをするつもりはありませんが。邪悪なのは誰か? が読者に対するミステリーになっています。
- ブランコをこぐ足
- 真相を理解したのはただ一人。真実の理解には、想像力が必要。という教訓も得られますが、その他の級友にはホラーとして記憶される恐怖でした。
- おとうさん、したいがあるよ
- 途中から登場するつつじの元彼への想いが、恋愛小説の要素を持たせていて好感が持てました。しかし、僕だったら、こんな状況の親の実家には(有無を言わせず連れて行かれてしまう小学生ならまだしも)大学生になったら、もう御免被りたいです。
- ふちなしのかがみ
- 相手を思いやる愛情が枯渇し、執着だけが残った人は、相手に対して大変不愉快な想いをさせます。と言うのは、僕の持論なのですが、それが狂気の域まで達するとホラーになるのですね。
- 八月の天変地異
- 最後の一遍は、ホラーと言うよりはファンタジーです。
秘密基地を作って友達と遊んだ、僕の夏休みを思い出しました。
この一遍を読むまでは
「子供の頃は悩みなんて無くて良かったなぁ。」
という漠然とした記憶でしかなかったのですが、実際はそれなりに悩みがある中で、友達とかけずり回って遊んでいたことを思い出しました。
本作は、冒頭で引用した帯のうたい文句の通り、「さすが、青春ミステリの気鋭」とうなずける、ホラー(怪談)でありながら、ミステリの要素を盛り込んであり、大変凝ったお話になっています。
そこで、僕も、あまりネタばれしないように感想を書いたつもりなのですが、如何でしょうか。
それは、ここで僕から、読み終わった皆様にクイズを差し上げます。
正解は、皆さんが読んだ通りです。
2009年8月17日
No.526