受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 480 食い逃げされてもバイトは雇うな 禁じられた数字(上)/ 山田真哉 著 を読みました。

「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」光文社新書2005/2/20)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

 

以来二年ぶりの書き下ろし。家庭生活にも役立つ会計学をわかりやすく具体的に教えてくれる第二弾。

はじめに 数字は、99%の意識と1%の知識
本書の趣旨をまとめています。バイトを雇えば食い逃げされないはずなのに、なぜ雇わないのが良いのか。本書が勧める「数字をうまく使う」理由を述べています。意地の悪い僕には、「数字は嘘をつかないが、嘘を使うヤツは数字を使う。」と言う昔読んだ本の文句が思い浮かびましたが、数字を使う嘘つきの手口を見定める上で、読んでみましょう。
イントロダクション Web2.0」『ゲド戦記』がすごい本当の理由  数字のルールはたったの4つ
数字の効用を述べています。「なるほど」と思いました。最後の「数字の暴力性」では、利用による弊害と、その対処法にも言及しています。
第1章 今日は渋谷で6時53分  数字が上手くなるための技法
約束の時間指定や広告などで効果的に使われている数字を例に挙げています。
第2章 タウリン1000ミリグラムは1グラム  ビジネスの数字がうまくなる
僕の場合、学生の頃に日々有機合成に親しんでいたので、1000ミリグラムだろうが、1グラムだろうが、「50ml程度のドリンク剤によく溶けるものだなぁ。」と言う感想を持っていたタウリン1000ミリグラムは、おおよそ1cm四方の角砂糖状の粉末を固めたものをイメージでしていました。が、その他の例では、「なるほど、広告で訴えるべきはアイデアだなぁ。」と部分的な「ナンバーワン」を訴えるTV CFを思い出しました。
第3章 食い逃げされてもバイトは雇うな  会計の数字がうまくなる
この章は、人に訴えるための数字ではなくて、自分で使うための数字について。「感情に流されずに、」と言う言葉はよく聞くものですが、実際に自分が「お得」になるための例を挙げられていると、説得力があります。
p138からの「古本屋はなぜ潰れないのか?」は非常にいろいろ考えさせられました。(本書とは関係ありませんが)J.F.ケネディーのお父さんは、「法律で禁止される前に、禁止されるような手法を使うのが株でもうける秘訣である。」と言うような意味のことを言ったそうですが、この手は瞬間的にしか使えない=本書の次の章で解説される永続性が必要な企業の経営には不向きである。と納得しました。
第4章 決算書の見方はトランプと同じ  決算書の数字がうまくなる
最後が著者専門の会計の数字についてです。僕は株式会社に勤めているので、この数字の見方は随分勉強になりました。(僕が務める会社に限った事ではないだろうけれど、)株価って、業績の善し悪しに直接関係なく、すごく乱高下しますよね。そのとき、「危ないのか」「割安なのか。」自分の会社の株価を本書で勉強したもので眺めてみると、なんとなく「買いたいな。」とか「売りたいな。」とか思うこともあるのでしょう。実際は、自分が務める会社の株を短期で売買することは出来ませんが。

2007年9月3日
No.480