受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 577 ムーミン谷の冬/ヤンソン著 を読みました。

1979/11/15:最初に文庫として発行され、
1982/ 1/10:青い鳥文庫に収録され
1990/10/24:ムーミン童話全集として刊行され、
2011/ 6/15:21世紀版文庫として冨原眞弓の解説付きで再版され、
新装版 ムーミン谷の冬 (講談社文庫)

新装版 ムーミン谷の冬 (講談社文庫)

 
2014/ 1/15:青い鳥文庫も新装され、
ムーミン谷の冬 (新装版) (講談社青い鳥文庫)
 
2020/ 2/27:ムーミン童話全集版も新版になりました。
ムーミン全集[新版]5 ムーミン谷の冬

ムーミン全集[新版]5 ムーミン谷の冬

 
まっ白な雪にとざされたムーミン谷。パパとママといっしょに冬眠にはいったのに、どうしたわけか春がこないうちにたった一人眠りからさめてしまったムーミントロール。はじめて知る冬の世界で彼のすばらしい冒険がはじまった……。冬のムーミン谷を舞台にヤンソンがつづるファンタジー童話の傑作。
  背表紙より  
トーベ・ヤンソン(Tove Marika Jansson 1914/ 8/ 9 ~ 2001/ 6/27 スウェーデンフィンランド人)によるムーミンシリーズ六冊目の本。原題は"TROLLVINTER"。スウェーデン語で書かれたもので、1957年にフィンランドのシルト出版社(Schildts Förlags Ab)から発行されました。僕が読んだのは、2011年に冨原眞弓の解説付きで21世紀版として再版された講談社文庫です。
本作の舞台は冬のムーミン谷。ムーミン一家にとっては眠りの季節。未知の世界です。

 

冬眠に入ってしばらくした十二月。ムーミントロール(Mumintrollet)が目を覚まします。そして、もう冬眠に戻ることができなくなります。
当初ムーミントロールは、冬眠しないスナフキン(Snusmumriken)(※1)に会うため、南を目指して歩き始めます。しかしながら、歩き出したところでおしゃまさん(Too-ticki)に出逢います。
(※1):「たのしいムーミン一家」では、スナフキンムーミンたちと一緒に冬眠から目覚めています。
おしゃまさんは、毎年の冬をムーミン一家の夏の水浴び小屋で過ごす冬のエキスパート。
ムーミントロールは、おしゃまさん、同じく子リスに起こされたちびのミイ(Lilla My)と共に、他のムーミン一家が経験したことのない、雪と氷にとざされたムーミン谷の冬を過ごします。

 

大人に頼らないムーミントロールが、大人への階段を上り始める物語です。
言い伝えを忘れて氷姫を見てしまい、動かなくなった子リスをどうするのか。
冬至のお祭りのあとに、やってきたモラン(Mårran)をどうするのか。
迷惑なお客さまであるヘムルのヘムレンさん(Hemulen)をどう扱うのか。
一所懸命考えるムーミン。時には考えたとおりの事を実行し、時には躊躇し、躊躇している間に成り行き任せに事が運んだりします。

 

エンディングでは春が訪れ、冬眠から目覚めたスノークのお嬢さんと挨拶をします。一冬を過ごし、一つ大人になったムーミントロールの成長が頼もしい物語です。

2015年 7月27日
No.577

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