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受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 534 女子大生会計士の事件簿 DX.5 とびっきり推理なバースデー/山田真哉を読みました

同じ会計事務所に勤務する、女子大生兼公認会計士の藤原萌実と新人公認会計士補のカッキーこと柿本一麻のコンビが、クライアントの監査で出くわす事件に対応する経済ミステリー第五弾。

監査ファイル1
二千円札と無敵のお嬢様>事件・前編  固定資産台帳の話  
監査先は大手鉄鋼メーカー。現場で、いきなり監査先の会長専用エレベーターに会長と同乗して叱られるカッキーは、降り立ったフロアで初めて一緒に仕事をする村咲紫と出会います。固定資産台帳に絡む不正の香りに、村咲が突破口を開くのですが……。
企業が剰余金を貯金として現金で持たずに美術品などで持つ事の意味を知りました。
監査ファイル2
<二千円札と無敵のお嬢様>事件・後編  美術品評価の話  
村咲紫の活躍で、今回の監査も不正を正すことが出来ました。そして、なにやらカッキーに熱を上げているご様子!
監査ファイル3
<とびっきり推理なバースデー>事件・前編  在庫のカラクリの話  
今度はコンビニエンスストアの中堅チェーンへの監査。村咲紫を加えた三人のチームで取り組みます。和気藹々と監査を進めるなか、藤原萌実の感が冴えています。
監査ファイル4
<とびっきり推理なバースデー>事件・後編  小売業の棚卸の話  
感激しました。藤原萌実の監査人としての仕事に。僕も長年サラリーマンをやって来た上での感想ですが、「仕事上の失敗にペナルティで報いる職場はロクでもない。」です。でも、企業は部署の責任者が「部下がこのように失敗しました。」と報告したならば、経営者はその報告を信じることで成り立っているのも、また事実であり、それならば、この一作で会計監査の主査である「藤原萌実」が提出した意見書が、会計監査の意味を持ってくるというものです。企業もこれほど突っ込んだ会計士が監査してくれるなら、費用を支払った分以上の事があった。と思うのではないかな。と、萌実の仕事に感心した一遍でした。
監査ファイル5
<探しものは0パーセント>事件  連結子会社の話  
徐々に村咲紫が怪しくなってきますが、それはさておき、今回は従業員十五人の不動産施工会社の監査です。前作では会計監査が監査先に友好的に受け入れられた例でしたが、今回は逆の状態になります。上場会社は、監査で決算書が否認されると上場廃止になりますが、そのときの契約会計事務所って辛いんでしょうね。
監査ファイル6
<最後は本当の姿で>事件・遭遇編  M&Aの話  
三人がM&Aで急成長を遂げたグループ会社の監査に乗り込みます。
「女子大生会計士の事件簿」シリーズは同じ登場人物が個々の事件を解決してゆく連作なのですが、シリーズ第五弾では、これらの事件がこの監査ファイル6~8で一つに繋がっていくダイナミックな構成になっています。
そして、この単行本が出版される直前に文庫オリジナルで出版された「女子大生会計士、はじめました  藤原萌実と謎のプレジデント  山田真哉著角川文庫2007/11/25)

 

 

で登場した、萌実が尊敬する先輩「氷高元美」が登場します。
監査ファイル7
<最後は本当の姿で>事件・突入編  資産調達手法の話  
クライマックスの第二話は、ついに萌実が疑惑の核心に(奇策を用いて)突っ込んで行きます。ここではマネーゲームによる企業の株価操作(時価総額の肥大化)が語られます。「モノを作って、売って利益を出しましょう。」と現場でがんばってるサラリーマンからすると、「働けよ。」と文句を言いたくなる虚業です。
監査ファイル8
<最後は本当の姿で>事件・真相編  自社株売却のカラクリの話  
面白かったです。謎解きも面白いし、ヒロイン三人(村咲紫、氷高元美、藤原萌実)のここまでの経緯も面白いです。僕は(ラストのDX.6を昨日読み終えたのですが)シリーズで、この一冊が最高だと思います。
監査ファイルEX.1
女子大生会計士の事件後5
解説です。特にラストの<最後は本当の姿で>で語られた自社株売却のカラクリについて、現実に起こった事件との対比が親切に感じられます。ケネディーのお父さん=ジョセフ・P・ケネディ(Joseph Patrick Kennedy, Sr. 1888~1969米)は株の空売りで大もうけをして「法律で禁止されるような事を、禁止する前にやってしまうのが、儲けの秘訣。」と言うような意味を語ったそうですが、そのような儲けは、必ず誰かが損をした分の儲けなんだよな。とつくdく思いましたです。
監査ファイルEX.2
『女子大生会計士の事件簿』最終回決定会議
次の一冊が完結編になることの予告として、登場人物たちがそれぞれ最終回の予想をします。
監査ファイルEX.3
『女子大生会計士の事件簿』<ドラマ化の裏側>事件
TVドラマ化を藤原萌実とカッキーのやりとりで予告しています。ちなみに、ドラマは、2008年10月からBS-iにて放映されたもので、僕は、地上波で再放送されたものを観ました。萌実役は小出早織、カッキーは竹財輝之助です。萌実の決めぜりふ「監査感激雨あられ……」が格好良いです。本作の会計的な要素とコメディーの要素と、ミステリーの要素が、ちゃんとちりばめられていて、それでいて、ヒロインは可愛いし、カッキーの視点もわかりやすく出来ていたように感じました。
2011年1月18日
No.534