No. 411 世界の中心で、愛をさけぶ / 片山恭一 著 を読みました。
2003年に文芸作品としては六年ぶりにミリオンセラーに達した話題作。
高校生朔太郎が病死した恋人との思い出を振り返って描く恋愛小説。
たまには、話題作を読もうと、手にしました。タイトルから「けものが叫べば、ハーラン・エリソン(Harlan Ellison米1934~)のSF小説("The Beast that shouted Love at The Heat of The World" Galaxy 1968/6 日本では「世界の中心で愛を叫んだけもの」浅倉久志訳ハヤカワ文庫SFエ4-1
など)だなぁ。」などと思いながら。と、言うのは嘘でエヴァンゲリオンTV放映(1996/03/27 GAINAX・テレビ東京・NAS)での最終話『世界の中心でアイを叫んだけもの』を連想しながら、本を手にしました。
読んでみると、オーソドックスな少年の恋愛小説でした。
特に、夏のシーン、級友(柔道部)に借りを作っての悪巧みが良かったです。
朔太郎の高校生男子らしい、欲望と節操と愛情の入り交じった心の葛藤がありありと感じられました。
打算でも、肉欲だけでもない異性への愛情は、下手をすると嘘くさく感じられるものですが、この小説では、素直に受け入れられました。リアリティーと言う面では「自分は、こんなふうに女の子に接することは出来なかったけれども、学年に一人くらいはこういう男もいた。」と言う感じです。つまり、憧憬です。
彼女への喪失感も、執着心に根ざしたものでないところが良いです。
僕は、即物的でそれこそ獣のような印象を与えるそうですので、この本を読んだことを切っ掛けにして、好感を持たれるようになりたいです。
2004年 3月28日
No. 411
No. 411