受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 658 ネットの中心でファクトを叫ぶ / 永江一石 著 を読みました。

月間200万PVの人気ブログ「永江一石のITマーケティング日記」からの電子書籍化第四弾!「ファクトから考える」をテーマにしたエントリーをまとめた注目の一冊。

消費税を無くせば景気は良くなる?
電子タバコなら体に害はない?
若者は海外離れしている?

ひとたび事実(=ファクト)を知れば、そんなことは言えなくなる。こうした間違ったイメージで語られる愚かな言説を、永江一石が一刀両断! ワイドショーの報道で誤った情報に踊らされている場合ではない。これから未曾有の大不況が訪れると言われている中、正しい情報を自ら掴み取る力はますます大切になってくる。これを読めば、この時代を生き抜く道標となるファクトの大切さを身にしみて感じるはず。

  amazon釣書を抜粋  

インターネットの情報は信じられない、と聞きますが、

「ネットの情報は信じられない。」
よく耳にします。
ではテレビの情報が信じられるのか。
ずいぶん前のことですが、サッカーの日本代表監督のTVスポーツ番組での扱いを思い出しました。
辞めた後に選手のインタビューを交えて「監督はダメだった。」という報道に接してびっくりしたものです。
指揮を執っていたときの「よくやってくれている。」と言うのは、虚偽の報道だったと思いました。
就任中は「日本を応援しなければいけないので、批判しない。」
辞めたあとは「責任を追及するのが報道の仕事なので、批判する。」
というのがテレビの報道方針のようだ、と理解しました。
テレビを見ていて僕が受け取っていた情報は、
客観的な事実ではなく、テレビ局の方針に沿った印象操作だったと言うわけです。

ファクトで実態を理解する

本書では、先ず第1章「世の中の様々な疑問もファクトを知れば百選危うからず」で、様々な例を挙げて、報道から受ける印象と、実際のファクトから導き出される実態の違いを解説します。
特に
「日本の20代パスポートの新規発行率6.9%の謎を解いたら馬鹿みたいだった。」
に衝撃を受けました。
僕も「若者は海外に出なくなっている。内向きだ。」と思っていました。
ところが、事実は逆。
確かに年々20代でパスポートを新規に取得する割合が減っているのは、報道の通りのようですが、それは10代で取得する人が増えたから(°0°)
20代でパスポートを持っている人の割合は、上の世代よりも多い。特に女性で。
と、いうような衝撃を受けつつ
「なるほど、ファクトを知って実態を理解するのは大切な事だな。報道に印象操作されている場合じゃないな。」
と思ったわけです。

テレビのミス・リードを学ぶ。

かつて新聞のキャッチコピーに「世論をリードする。」
と言うのがありました。
今なら新聞よりもテレビの影響が大きいと思いますが、
いろいろリードしているわけです。
逆に言うと、新聞を読んだりテレビを見ることで、僕はリードされています。
しかしながら、間違ったリードもあるようです。
では、何が間違っているのか。
それはテレビを見ていてもワカリマセン。(あたりまえですけれど。。。)
本書は、データを元に、テレビやネットの情報によるミスリードも解説しています。
第2章「政治・経済問題もファクトで真実を証明せよ!」では、消費税についての解説に衝撃を受けました。
我々市民は、税金は少ない方が良いので、消費税も少ない方が良いです。
テレビを見ていると「消費税率の引き上げには反対」と世論をリードしているようです。さらには、減らすとか廃止とかも言われているようです。
つまり、テレビを見ていると、税金として消費税に限って報道しています。
今、自分の給与明細を開いて見てみました。
健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険。合計すると、結構多い。
これらは、税金で支払う仕組みの国もある一方、我々の日本では、税金ではなく、保険料という形で徴収されているらしい。
これらの社会保険料を合計すると、結構多い。
自分が支払っている消費税は手取りを全て消費したとして、手取りの10%が最大になる。十五万円の手取りがあれば、一万五千円が消費税の最大だ。
と考えると、ジツは消費税よりも、いわゆる社会保険料の方がかなり多いことがわかります。
テレビでは消費税率引き上げ反対。と、世論をリードしていますが、
社会保険料を放っておいて、何も言わないのは、ミスリードなのだな。
と思いました。

自分のファクトをチェックしてみる

せっかくなので、自分が支払っている社会保険料所得税+住民税の合計の推移をグラフにしてみました。
合わせて、消費税率の推移と、別軸で年収(給与所得から社会保険料+税を引いた額)も加えてみました。
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2020年の年収はグラフのスタート時点(1993年)とほぼ同じ額まで戻りました(涙)(しかし、ここでの着眼点は、僕の年収ではありませんよ)
消費税は3%から10%まで上がりました。
社会保険料+税は、18%から26%に上がりました。
「ほぼ新卒の給料に戻った」と言うわけですが、
会社から支払われる額は、そこまで減っていなくて、社会保険料所得税、住民税の増額によって、手に入る収入が減っている。ということが理解出来ました。

社会保険料+税の増額は、消費税の増税よりも多額です。

やはり、消費税のみ議論して社会保険所得税、住民税についてスルーしている報道や議員の人は「世論をリードする」というつもりならば、ミスリードしている、と言われても仕方がない、と思いました。

第3章 受動喫煙問題もファクトでぶった斬る!

いろいろ勉強になりました。

第4章 少子化対策がなぜ日本にとって最重要課題なのかファクトで証明する

マジで、閣僚のスキャンダルばっか追求する議員とか、報道は反省して欲しいと思いました。
市民としては、選挙では将来を見据えた政策を訴える人を選ばねばならぬな。と思いました。
一昨年のメーデーに参加した際、登壇した議会議員、および立候補予定の誰も教育について言わなかったことに唖然としましたが、それは、我々が求めていない(選挙民にウケがよくないと思われている)からなのだろうと思いました。
こういう本で、みなさん、一緒にお勉強しましょう。
 
2021年 7月 5日
No. 658