受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 425 冷たい校舎の時は止まる(中) / 辻村深月 著 を読みました。

このエントリーは上、中、下の三冊で刊行された新書版の中を読んでの記事です。

雪の校舎に閉じ込められた八人の生徒たち。本巻では、八人の生徒が徐々に減っていきます。冷たい校舎に八人を呼んだ犯人を思い出して……。
第31回メフィスト賞受賞作全三巻の第二巻。
(上)巻を読んだ時点では「読みやすいミステリーだなぁ」程度だったのですが、
(中)巻を読んで、さすがだなぁ。と思いました。
と言うのは……、
いまどきの高校生の事情は、僕にとって「センター試験ってなんだ?」と言うくらい、遠い存在になっています。だから、春に現役の高校の先生から「いまどきの高校生」のモンダイを伺う機会があったときも「へぇー、大変だねぇ。」と言うか  つまり他人事て言うか  別世界で起こっている出来事のように感じられました。そのとき聞いた問題が、この(中)巻冒頭では(ほぼ、聞いたとおりの話題で)高校生(当事者)充くんの視点から真剣に考えられていて衝撃をうけました。
今の僕は、教育問題と言うと、大上段に構えたニュースでしか見聞きしません。だから、せっかく直接高校の先生からお話を聞いても、異国の出来事のように聞いてしまいました。でも、この小説では、そのような事情(自分たちの大問題も、所詮人々の口に上れば異国の戦争のように他人事として同情される事件である)を前提にして、当事者の視点で見つめる8人の姿に胸打たれました。特に昭彦くんの真摯さが印象的です。
「ただのミステリーではない」と言う書き方も横着ですが、さすがメフィスト賞受賞作だなぁ。と思いました。
八人の生徒たちが、必死になって閉じ込めた犯人とその経緯を思い出そうとしているのと平行して、読んでいる僕自身も、自分が高校生だった頃に考えていたことを思い出そうとしていることに気づきました。
ところで……、
ここまで読み応えがあって、登場人物に感情移入してしまうと、まだ発行されていない(下)巻がとても気になります。この不安定な状態が僕は気にくわないので、ミステリーは最初に犯人が解るエンディングを読んでから、あらためて最初から読むのが僕の常なのですが、まだ発行されていないので読みようが無い結末。
僕は、現時点で僕とほぼ同じ身長の前副会長ではないかと思っているのですが、どうなのでしょうね。
2004年 8月 1日
No. 425