受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 657 応仁の乱 / 呉座勇一 著 を読みました。

室町後期、諸大名が東西両軍に分かれ、京都市街を主戦場として戦った応仁の乱(一四六七~七七)。細川勝元山名宗全という時の実力者の対立に、将軍後継問題や管領家畠山・斯波両氏の家督争いが絡んで起きたとされる。戦国乱世の序曲とも評されるが、高い知名度とは対象的に、実態は十分知られていない。いかなる原因で勃発し、どう終結に至ったか。なぜあれほど長期化したのか  。日本史上屈指の大乱を読み解く意欲作。
  カバーのそでを転記  
戦国時代に突入する直前の、混乱した室町時代後期。
仏教勢力が支配する大和国の二人の僧が残した日記を読み解き、
応仁の乱の起こる背景、直接の切っ掛け、戦況をつぶさに記します。
近年の歴史研究の飛躍的な発展を反映させており、紋切り型でない実情を交えた記述に感じるところが多くありました。
実際の領地支配の様子、地域支配者同士の小競り合い、室町幕府と有力な大名との関係などをわかりやすく感じました。

その後の戦国時代、織田信長が仏教勢力に手を焼きつつ徹底的に武力でけりを付けようとするのも尤もだと思う一方、筒井氏を守護に任命したあたりが、改革の放擲とも感じられる、破滅への転換点だったのかも。少々飛躍して思いを馳せました。

江戸時代の講談などを元に、俗説で語られる事の多い歴史ものとは一線を画し、
最新の歴史学の成果を誠実に、しかもわかりやすく示した良書だと思いました。
主に用いる資料は二つ。
経覚[きょうがく](1395~1473)による『経覚私要鈔[きょうがくしようしょう]
尋尊[じんそん](1430~1508)などによる『大乗院寺社雑事記[だいじょういんじしゃぞうじき]
本書の特徴は「資料に書いてあるから」と、無責任に現代語訳する態度ではなく、
資料を記した二人の僧の性格にまで思いを巡らし、実際の出来事と記録の差異までを読み解いている点です。
「噂を鵜呑みにして、驚喜している。」
「×○と予測しているが、見事に的中した。」
というような感じ。
この効果がよく出ているのが、
古市胤栄ふるいち いんえい](1439~1505)についての記述だろうと思います。
従来の記述だと、文化人としての側面と、強権的に家中を統率する人物像が一致しません。
でも、この一冊を読むと「なるほどな。」と思いました。
同じく、足利義政[あしかが よしまさ](1436~1490)室町幕府第八代将軍在位:1449~1474についても「こんな人だったんだろうな。」と人となりが感じられるようでした。
実像をあまり描いていない重要人物が
畠山義就[はたけやま よしひろ](1437~1491)です。
で、今wikipediaを読みました。なるほど、この人にはスポットライトを当てないのが無難だろうな、と思いました(謎)。
2021年 6月26日
No. 657