受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 438 日露戦争 / 近現代史編纂会 編著 を読みました。

日本文芸社の「学校で教えない教科書」シリーズ。
僕の日露戦争に関する知識が非常に形式的だったので、詳しく知りたいと思い、手に取りました。僕の形式的な知識というのは、以下三点。
  1. 年代;1904から始まった戦争である。
  2. 地域;日本とロシアが、主に中国大陸で交えた戦闘である。陸では旅順攻略戦、海では日本海海戦が代表的な激戦地。
  3. 3.結果;一応日本の勝利。米国の仲介で講和した。賠償金は取れなかったが、南樺太を割譲された。
つまり、戦争の背景を全くと言っていいほど知りませんでした。また、上のような理解も、断片的で、部分的。不正確でもあります。

 

本書は、
序章「日露戦争はなぜ起こったのか」で、その時代背景、経緯を詳しく解説するところから書かれており、僕の期待には十二分に応えてくれるものでした。
戦闘についても、陸、海戦ともに、緒戦である上陸作戦から、講和中の樺太占領作戦までを網羅しています。
講和では国民の評価を取り上げたところが妙です。

 

特に印象的だったのは、最終章=第一〇章で、経済的側面にまで言及している点です。
最近、戦争を語る際に、それが政治、外交の一手段であることがよく指摘されるようですが、それ以上に、経済の手段でもあることを痛切に感じました。
現代の戦争についても、報道では「どちらに正義があるか」「その大義名分に根拠があるか」などを議論しているのを目にしますが、僕は正義や、大義名分よりも、経済効果として理解した方が、解りやすい場合が多々あるように感じていたので(念のために断っておくと、僕は「経済効果が得られるなら戦争をするべき」と言っているわけではありません。「経済効果を考慮して戦争に踏み切ったと考えられる。」とアメリカの戦争について理解している。と言うことです。)、本書で詳しく(公債の海外での発行などを)論じている点に好感が持てました。
2005年3月22日
No. 438