受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 450 ループ / 鈴木光司 著 を読みました。

ループ (角川ホラー文庫)

ループ (角川ホラー文庫)

 
科学者の父親と穏和な母親に育てられた医学生の馨にとって家族は何ものにも替えがたいものだった。しかし父親が新種のガンウィルスに侵され発病、馨の恋人も蔓延するウィルスに感染し今や世界は存亡の危機に立たされた。ウィルスはいったいどこからやってきたのか? あるプロジェクトとの関連を知った馨は一人アメリカの砂漠を疾走するが……。そこに手がかりとして残されたタカヤマとは?
「リング」「らせん」で提示された謎と世界の仕組み、人間の存在に深く迫り、圧倒的共感を呼ぶシリーズ完結編。否応もなく魂を揺さぶられる鈴木文学の最高傑作。
   カバーの背表紙を転記  
近未来の東京、ウォーターフロント。高層マンションで帰りの遅い父親を母親と二人で待つ少年、馨。やがて父親を襲う新種のガンウィルス。
成長し、医学生となった馨が家族を救うために、父親のみならず世界に蔓延し始めたウィルス発生の謎に挑む。
リング (角川ホラー文庫)

リング (角川ホラー文庫)

 
「らせん」(1995/ 7角川書店
らせん - (角川ホラー文庫)

らせん - (角川ホラー文庫)

 
に続くシリーズ完結編。
 
前作「らせん」が生物学に取材した完璧なサイエンスフィクションになっていたので、僕は「続編も、このネタで続くのだろう。」と思って読み始めた完結編でしたが、本作は全く異なる分野も新たに取材してのSFでした。それは情報工学。この設定は、その後海外の映画などでも用いられます。物語のスケールは世界を超えており、SFの領域を大幅に広げた名著です。
物語の世界観だけでも、上記のように革新的な小説なのですが、馨が単身、バイクで行く砂漠の旅や、そこで遭遇するサバイバルでは、著者のもう一つの持ち味である冒険小説の醍醐味も味わえました。
2005年 6月19日
No. 450