大正に生まれ、見合い結婚で大阪に嫁ぎ、戦火をくぐり抜け、戦後の自由な時代の波に乗り……。人生の荒波にもまれつつも、平凡な少女は決して後ろ向きになることなく、その魅力を開花させ、みんながハルカの天真爛漫なキャラクターに引き込まれていく。ヒメノ式「女の一生」、直木賞候補の傑作長編。解説・山形孝夫カバーの背表紙を転記

- 作者: 姫野カオルコ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2007/02/24
- メディア: 文庫
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以来二年ぶりの作品。
丹念な取材を元に描かれた、ドキュメンタリータッチの作品としては「整形美女」(新潮社1999/ 1/20)
以来、約六年ぶりの作品。
取材の対象は、本書では特定の女性。著者初のモデル小説です。ただし、モデルは有名人ではなくて、一般人。大正生まれの女性。
歴史に名を残すでもなく、またマスコミに登場するでもない彼女の半生です。
が、しかし、彼女の人生は僕にはうらやましい限りの個性的な人生として映りました。
もちろん、現代とは違って選択肢が限られた彼女の人生には、たとえば自分がしたいことを選んで進路を決めるような自由さはありません。逆に時代に流され、状況に身をゆだねざるを得なかった事の多い、彼女の人生です。それでも、僕が彼女の人生をうらやましく思えたのは(僕の読書に偏るかもしれないけれど)彼女が自分の個性を肯定し、限られた選択肢の中で自分の身の丈にあった選択をしてゆくところにあったように感じます。
自由と言われる現代にあって、僕は、本当は何をしたいのだろうかと考える事も多く、また、思うようにいかなくて悩む事もあります。でも、たとえば、ハルカのように生きることもできるのだと思えば、僕も、僕なりに、自分らしく生きる事ができる、そのヒントを与えられたように感じた一冊でした。
の転記です。
2005年10月24日
No. 454
No. 454