受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 469 女の旅じまん / 酒井順子 著 を読みました。

女の旅じまん (角川文庫)

女の旅じまん (角川文庫)

 
1990年初頭マガジンハウスの「ガリバー」に連載されていたエッセイ集。(今考えると)バブル景気(1986/11~1991/02)の恩恵を受けて裕福だったOLがその財力の発露として海外旅行を楽しむ姿を世界各国に派兵される軍隊に見立てて、内部から描写しています。
ただし、この本は観光地のすばらしい風景や、人情などを綴った旅行記ではありません。旅行に出かける女性の旅行の準備(空港までの交通手段や、休みを取るまでの段取り、一緒に行く友達の人選、ガイドブックの読み方)や、旅先での振る舞い(写真の撮り方や、買い物、体調の維持、トイレ事情など)、帰国にまつわるエトセトラ(おみやげの配り方、報告の仕方、されかた)などです。
あのバブル景気が永遠に続いたのであれば、この本も「マニュアル」として長く重宝されたのでしょうが、今読んでみると、終わってしまったバブル景気に対して「無常」を感じずには居られません。
でも、それだけではなくて、アジアの他の国に於いて日本人の英語が苦手なこと(他のアジアの国では、日本とは比較にならないほど英語が比較的通用すること)、団体旅行で視線を浴びる日本人達の実情など現在でも共通する海外事情も記されていて、進歩しない自分を振り返りました。(でも、最近の新入社員って、バブル就職世代に比べて断然英語が出来る人が多くて焦ります(^_^;)


僕の場合、旅行と言えば、準備も、計画もいらない、気の向くまま、です。旅先ですることと言えば「次の宿まで一日掛けて歩く。」とか、「一日中温泉に浸かっている」などなので、海外は思い浮かばないのですが、このエッセイを読むと「海外旅行に行きたい人たち」の、その情熱を感じました。

2007年6月20日
No.469

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