No. 476 少子/ 酒井順子 著 を読みました。
「痛いので産みたくありません」
キャッチコピーが通勤電車の中吊り広告で目立っていたコラムです。
長年話題になっている我が国の「少子化」について、その理由と対策を考察しています。
ちなみに、「少子」と言うタイトルは(僕の想像ですが)「笑止千万」(ヘソが茶を沸かすぜ。)を(時代劇などで時々耳にする)略して言うときの[しょうし]に引っかけているような気がします。
だから(かどうかは知らないけれど)僕のように「誰が困るのか」が解らず、そもそも大した問題では無いと思っている人のために、低レベルの疑問から考えてくれています。
国家予算を多額に引き裂いて対策を打つようなので、やっぱり問題なのでしょう。とは思うのですが……。(その国家対策が少子ならぬ、笑止のように感じられるのですが……。)
楽しい本でした。もちろん、この問題を「他人事」として読んで楽しみました。
だって、世間で話題にしている人だって、
産んだ人は「楽に育てられるようにしろ。」
産まない人は「産みやすいようにしろ」、
男は(産めないので)子供がいる人は、子供がいない人を非難するためのネタとして利用しているし、
子供がいない人は「だから、少子化が悪いんだってば。」と自分の問題を国家の問題にすり替えている、
ような気がします。
いっそのこと、シンガポールみたいに
「福祉ではない。」
「国家財政を支えている優秀な加工貿易従事者に子供が少ないのが問題だ。」
「高学歴、高収入の若者に子供を産んでもらうことが目的」
とはっきりしてくれれば良いのに。
と、言うような、個人的(ミクロ)な問題と、国家運営(マクロ)な問題を取り違えている状況を揶揄しながら、往年の(男や子供たちにとって、ミステリアスな=夢や希望として)出産を紹介している点など、個人的な配慮なども感じられて、好感度も高かったです。
2007年8月12日
No.476