受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 477 恋物語/鎌田敏夫 著 を読みました。

恋物語 (角川文庫)

恋物語 (角川文庫)

 
女たらしの売れっ子カメラマン矢野健介とチーフアシスタントの前島にこき使われるセカンドアシスタントの相沢とも子。仲良しのヘヤ・デザイナーアシスタントの弘、スタイリストアシスタントの亜紀。二十一歳の誕生日を祝ってくれる二人との職場での邂逅から始まる物語は、とも子が一人前になってゆく過程を描いています。

この小説を原作にしたTVドラマが、1986年10月22日に水曜ドラマスペシャルとしてTBS系列で放送されました。僕も見た記憶があります。ほとんど具体的には覚えていないけれど、とも子が勝手に撮った写真が元で、自信を無くした矢野に対して、健気にその不甲斐なさをなじる原田知世演じるとも子が印象的でした。
二十年経ってようやく、原作を読んだわけですが、(ちなみに、上記シーンは原作にはありませんでした。)車の運転が好きで、カメラマンになるくらいだからメカ好きで、女扱いしない事を条件に採用されたアシスタント業ですが本当にその通りに扱われても、がんばるとも子が魅力的に感じられました。
何時の時代でも「夢を追うこと」の魅力は、若者の間で語られるものですが、その夢に向かって突っ走るその、実例を見たような爽快感があります。夢をつかむって事は、例えば選んだ仕事で、一人前になることなのかも。

物語とは直接関係ないのですが、娘を一人東京に送り出す親心って、ありがたいものだよね。と、言うような感想もありました。なかなか出来るものではありません。つくづく、そう思いました。
2007年8月12日
No. 477