No. 478 ウエハースの椅子/ 江國香織 著 を読みました。
三十八歳画家の「私」から見た恋愛(と言っても、劇的な出会いや別れがあるわけではない)中心のインナーハードボイルド(語りべの内面描写に徹して外から主人公を見ない)小説です。
室内で一日中恋人を待っていたら気が狂って仕舞うのではないか。と、僕が感じるような生活(実際には、外に出て雑事もしているのだけれど、まるで二十四時間三百六十五日部屋から出ないような印象を受ける生活)を、実際に過ごす人の、そのパッシブさ加減が、生温く感じられました。
共感、とか、反感とか言う以前に、外国人、いや、別の生物(例えば水槽で飼っている金魚など)の気持ちを想像して書かれたように感じました。
僕も、かつてはTVゲーム(シミュレーションウォーゲームの類)にはまると、一週間外に出ないで、TVに向かい続けているような状態になる事があったけれど、(おそらく、定年を迎えた後、TVゲームを始めたら、そうなるような気がするけれど、)それを恋愛で過ごすとこうなるのかな。と言う類推は、成り立たないのだろうな。
2007年8月13日
No.478