No. 549 ムーミン谷の彗星/ヤンソン 著 を読みました。
青い鳥文庫もあります。
トーベ・ヤンソン(Tove Marika Jansson 1914/ 8/ 9 ~ 2001/ 6/27 スウェーデン系フィンランド人)のムーミンシリーズ二冊目の本。原題は「彗星(Kometjakten (フィンランド語:Muumipeikko ja pyrstötähti) )」スウェーデン語で書かれたもので、1946年にフィンランドのソーダーストロム社(Söderström & Co)から出版されました。ちなみに、ソーダーストロム社は、ムーミンシリーズの三冊目以降を出版したシルト出版社(Schildts Förlags Ab)と2012に合併し、"Söderström & Co"となったそうです。1950年代に英訳され1959年「Comet in Moominland」として出版され、トーベ・ヤンソンは作家として世界中に名を知られるようになりました。
その後ムーミン関連小説は、1970年まで執筆され、全9話が揃いました。
1968年の秋にトーベ・ヤンソンが改稿出版されたのを待って訳しています。英語版ムーミンウィキによると、改稿箇所はわずかであり、例えば絹サル(the Silk Monkey character)が子ネコに変更された程度と言うことです。
訳したのは下村隆一(1928~1969/11)。残念ながら訳者は、本書の初版が1969年1月に出版された同じ年の年末に不慮の自動車事故で急逝されています。
本書には、
下村隆一の初版への「解説」1969年1月24日と、
全集を刊行した山室静(1906/12/15 ~ 2000/ 3/23)による「附記」
が並録されています。
「解説」では、1968年秋の改稿版を翻訳したものであることがヤンソンに伝わり、喜ばれていることが記されています。
「附記」では、下村隆一を惜しんで彼の略歴も紹介されています。
「かわいい子には旅をさせろ」
「それなら、異変の大本である彗星を観測出来る天文台に行かせてやろう。」
と親の薦めで旅に出ます。
のんびりとした天文台への旅行でしたが、いよいよ彗星が近づいてくると、あわただしくなってきます。
後半は、迫る彗星の影響で強い風が吹いているムーミン谷を避難する登場人物(妖精)たちの様子が描かれます。
平穏な時よりも、危機が迫る時のほうが、人の本性がよく現れるものです。
沈着冷静なスナフキン。
トラブルにも機転を利かせて対処するムーミンママ。
最後は一緒に彗星の接近に備えるムーミン谷の仲間たちが、読んでいる僕にとっては楽しそうに見えた物語でした。
2014年 1月15日
No.549