Hatena::Diaryのブログ「Chikirinの日記」が人気のブロガー「ちきりん」の四冊目の本です。
四冊目の本で考えるのは働き方。
と言うわけで、感想の前に現代日本の就業事情を調べてみました。
e-stat:政府統計の総合窓口から、統計データを探す
>主要な統計から探す(統計分野表示)
>調査の概要・結果・主用統計表からグラフにしました。
データは、全て2012年の調査結果です。
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![]() 雇用者(役員を除く)の内訳をみます。ざっくりサラリーマン(役員を除く)を、「正規の職員・従業員」、「労働者派遣事業所の派遣社員」「契約社員」の三つと考えると、全有業者(働いている人)の58%がサラリーマンと言う計算になります。 |
![]() 一方、自営業主と家族従業者を合わせた割合は、1956年の56%から一貫して減り続け、2012年時点で、11%まで低下しています。 1968年に38%まで低下した割合は、おおよそサラリーマンに吸収されていますが、以降の自営業主+家族従業者の減少分は、パート、アルバイトの増加とほぼ一致するようです。 |
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以上、過去の働き方を見た所で、ようやく本書「未来の働き方を考えよう」です。
本書は、上記のように過去の社会全体を見渡して行く末を論じるものでは無く、読者本人がどのように働くか、つまりは、「どのように生きるか」を未来に目を向けて一緒に考えるものです。
- 序章:”働き方本”ブームが示すモノ
- 先ずは、本書の概要を示します。幕末から明治維新に掛けての社会変革を越える革命の時代が、僕自身にとっても「働き方」として影響があることを理解しました。
- 第一章:現状維持の先にある未来
- かつて「典型的なサラリーマン家庭で」と語られた働き方=結婚して、子供を設けたら家庭を妻に任せて仕事に集中と言うわけにはならぬ世になった事を具体的に記しています。
- 第二章:世界を変える3つの革命的変化
- ・ 産業革命に匹敵する社会の変化?
現在進行中の社会変革が、今までの延長としてではなく「革命的」と言える変革であることを三つのパワーシフトを挙げて論じます。
・ パワーシフトその1 大組織から個人へ by IT革命
・ パワーシフトその2 先進国から新興国へ by グローバリゼーション
・ パワーシフトその3 ストックからフローへ by 人生の長期化
特に三つ目に挙げている「ストックからフローへ」はオリジナリティーが感じられました。年金問題の報道に接する機会が多いですが、そもそも年金に頼るべきなの? と言う問いかけです。サラリーマンとして生きることしか念頭においていなかった僕が気が付かない視点でした。 - 第三章:新しい働き方を模索する若者たち
- 「平均的なサラリーマン」には、非常識としか思えない、様々な働き方をする若者を紹介しています。
- 第四章:「ふたつの人生を生きる」
- 本書の白眉です。ごく当たり前に(と自分では思って)サラリーマンを続けている若者でない人が、時代の変化と自分の経験を踏まえて今後の働き方を考える場合のポイントを提案しています。
僕も漠然と「このまま一生終えることは出来ない。」と気が付いていたつもりです。十七年前に立ち上げたこのサイトの自己紹介には「中学生の頃から、サラリーマンを志し、夢が叶いました\(^O^)/ 」と記したままですが、徐々に洒落にならなくなってきました。
漠然とした不安は、要は具体的に考えていなかったからなのだな、と気が付く一方、「なるほど。そう言う考えもあるな。」と納得すると肝が据わり、心構えが出来たように思います。発刊と同時に購入し、つん読状態だった本書をようやく開き、拝読して、(買ったのを忘れて、本屋で見かけた際に二冊目を購入し、「お年玉の副賞」として姪に差し上げて)「読んで良かった。」と思う第四章でした。 - 第五章:求められる発想の転換
- 働き方(収入の得かた)を考える上で考慮する必要のある「支出」について述べています。
僕にはこの章が、具体的に参考になりました。本書を読み終えてから一月以上経っているのですが、その間にしていたのは、無駄な支出(固定費)を打ち切る手続きを二つばかりしていて、面倒だったからです。普段会社で働いているだけの生活をしていると、帰宅してから用事があることが、とっても面倒に感じられます。手続きが面倒だから後回しにしたまま何年も経ってしまっていたいくつかを、良く考えて、計算して「やめた!」と手続きをしておりました。だいぶ、社会勉強になったように思います。 - 終章:オリジナル人生を設計するために
- 「そうだよな。「平均的なサラリーマン」なんて、俺はそうじゃないし。目指すものでもないよな。」と深く納得した上で、具体的に考える手法をいくつか提案されています。「能力や環境とは無関係!」て読めばそのまま納得するのですが、では、今まで僕がどう考えていたのかを良く思い起こすと、あれや、これや言い訳にして、考えるのを後回しにしていたのでした。
つくづく、考える切っ掛けになった事が多く、ためになる本でした。
2014年 7月 6日
No.559