ゲームメーカーの女性プログラマーを主人公にしたファンタジーです。
主人公の勤務形態が嘱託なので、在宅勤務。独り暮らしなので滅多に人と会うこともありません。早くに両親と死別し、きょうだいもいない彼女は、戒律厳しい修道院で育ちました。成人して後は、友達から「フランチェス子ちゃん」と呼ばれるほど(結果として)禁欲的な生活を送っています。
そんな彼女のファンタジーは、哀れ股間に人面瘡が出来てしまう喜劇。しかも人面瘡はしゃべります。何をしゃべるかと言えば、恵まれた容姿にもかかわらず、禁欲的な生活を送っているフランチェス子ちゃんを人面瘡が「ダメ女、ダメ女」と、替え歌にして繰り返して歌います(笑)。そんなふうに、なじりながら歌います。喜劇です。
奇想天外な、この喜劇は第117回直木賞候補となりました。惜しくも受賞は逃したものの、僕は奇想天外さに微笑みながら、いつのまにか一気に読んでいました。そして、読み終わると、心がほんのりと温かくなっている事に気づきました。まさしくファンタジーでした。
特に結末が好きです。本書のストーリー展開を考えると、前段で「喜劇です。」と書いた以上の概要説明は出来ないのですが「概要説明が出来ない」と書いた事で察して欲しい本書の結末は、単なる喜劇で終わらない、奇想天外さにビックリした僕の裏をかく意外さで、心温まるファンタジーなのでした。
殺伐とした現実社会を生きるOLのみなさんや、若い独身サラリーマンにお勧めしたい一冊。と言うのも、殺伐とした現実を生きている僕が、現実さながら迫真に満ちたビジネス世界の駆け引きや、職場の同性間に見られる陰湿ないじわるをリアリティー豊かに物語る小説ばかりを求めるものではないからです。時には、夢の中のように、ここちよいお話しを求めたくなるからです。
苦労は買ってでもしろ。と、よく言われますが、求めもせずに押しつけられた苦労を背負っている人には、清涼剤の一服も必要だろうと思うのです。
殺伐とした現実に疲れたみなさんには、だましてでも読んでもらいたいファンタジーでした。
裁判に掛けられたイエス・キリストは、偽証により死刑を宣告される。イエスを銀貨三十枚で売ったユダは罪を悔やんで首つり自殺。偽証に反証しないイエス・キリストは、死刑に甘んじるが、裁判長は無実を知って、裁かず、群衆に委ねた。群衆は、イエスをむち打ち、着衣を剥ぎ、いばらの冠をかぶせ、右手に葦を持たせた。つばを吐きかけ、頭を叩き、十字架を背負わせた。罵り、あざけり、ついには十字架に磔。磔になりながら、なぜか最後に「どうしてわたしを見捨てるのですか。」と神に叫んだイエス・キリストは絶命する。
というような、イエス・キリストの逮捕・処刑一連の「受難」を指す。
ってなふうに、もったいぶって書くと、みんな引くので文字を小さくしてみました(笑)
20001年7月9日
若干修正2002年4月16日
若干修正2002年4月16日
No.298
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岩佐真悠子フルヌードで姫野カオルコ原作「受難」に主演 “アソコ”に人面瘡!? #映画 #eiga http://t.co/MqTjOXr2Mo 音楽わたしがやってま〜す。
— 大友良英 otomo yoshihide (@otomojamjam) September 27, 2013
それとは別に、本書の味わい=浮かれた世間の若者のにぎわいから取り残されたように感じている普通の人に訪れる僥倖を映画でも楽しみたいと思います。
12月7日に全国で公開と言うことです。

この写真はフィルムカメラで撮ったものです。
打ち付ける波です。

これは、デジカメで撮ったものです。
岩場にしゃがみ込み、波が打ち付けるたびにシャッターを切ったのを思い出しました。
フランチェス子は四谷の教会に通っているし、都心に勤務していた時代の友人もたびたび尋ねてくる。そこで、当時交流のあった姫野カオルコのファンの方々とのオフ会に犬吠埼はいかがかな? と思い下見を兼ねて遊びに行ったのですが、遠かったですf(^ー^;
「同じように、一時間以上掛かったとしたら、合計で三時間程度の移動時間を見越さねばなるまい。」
と思って行ったのですが、それ以上でした(T_T)/
と感慨深く思って五月の連休の一日をたびに費やし、帰宅したのでした。
(お茶の水から犬吠まで、三時間以上掛かります。)
それでは、みなさん、映画を心待ちにしながら、深まり行く秋を楽しみましょう。
おやすみなさい(^.^)/~~~