犯罪者に反省させるな 。「そんなバカな」と思うだろう。しかし、犯罪者に即時に「反省」を求めると、かれらは「世間向けの偽善」ばかりを身に付けてしまう。犯罪者を本当に反省に導くのならば、まずは「被害者の心情を考えさせない」「反省は求めない」「加害者の視点で考えさせる」方が、実はずっと効果的なのである。「厳罰主義」の視点では欠落している「不都合な真実」を、更生の現場の豊富な実例とともに語る。
表紙の折り返しより
なんと、びっくり。反省が再犯につながっているとは!
常識を覆されました。
いちばんビックリしたのは、第3章「被害者の心情を考えさせると逆効果」です。
二〇〇六年五月に改正された「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」で取り入れられた「被害者の視点を取り入れた教育」という更生プログラムを受けた受刑者は、逆に再犯を促進されている可能性がある、と言うことです。
僕は、テレビのニュース番組などでむごたらしい犯罪の報に接すると「犯人には反省して欲しいな。」「被害者の身になって謝って欲しいな。」と思っていました。そして、そのとおり、刑務所では、被害者の気持ちになって考える教育が用意されていると知り、好ましいことだ、と思いました。教育を受けた受刑者は、反省を口にして、被害者に悪いことをした、と謝罪するのだそうです。
でも、更生して出所したと思いきや、再犯する可能性が高まっていると言うことです。
何か、間違っていると思いました。
本書は、臨床教育学博士で、刑務所での累犯受刑者の更生支援に関わっている著者が、実際に受刑者に接しての経験から「再犯しないようになる」更生方法を考察して紹介しているものです。
そして、目を引く書名「反省させると犯罪者になります」で、上記のような誤解(被害者の立場に立って考えさせるだけの教育は、再犯を誘発させる)に警鐘を鳴らし、僕もビックリした「反省させる”だけ”では更生につながらない」と言う信じがたい内容に配慮して、とても丁寧に「何が間違っているのか。」「どのような更生方法が良いのか。」を述べているのが、この一冊です。
読み終えて僕が学習したことを整理すると、殺人などのむごたらしいニュースに接したときに、僕は「反省して欲しい」「被害者の立場に立って謝って欲しい。」と思うのですが、もう一歩考えを進めて「更生して欲しい」「再犯をしないようになって欲しい」さらに進めて「犯罪を犯すような境遇にある人を少なくしなくてはならない。」と考えを深める必要があったのだ、と言うことです。そして、犯行直後に反省を強いると、模範的な反省文を書けるようになるのだそうですが、それは、うわべだけのもので更生しているわけではない、と理解しました。
本書は受刑者の更生に加えて、日頃子供に接する上で配慮したい態度や、小さな問題を起こした際の接し方のアドバイスもあり、直接犯罪者と関わる機会のない僕たちにも、得るところの多い一冊でした。特にいじめをした側の子供の視点に立って、いじめをやめさせるように指導する手法を提案している第4章「頑張る「しつけ」が犯罪者をつくる」は、感じるところが多かったです。
「本は知識のみなもと」と言いますが、これほど得るものが多い本を今まで読んだことがありませんでした。
以上は、amazonに投稿した書評をそのままコピペしたものです。スミマセンm(v_v)m
2013年 9月28日
No.545
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フォローしている
麻木久仁子さんのツィートでこの本を知りました。
Twitterをお使いの方は、このツィートを開くと、無謀にも僕が二回連続で返信(リプライ)しているのを確認できると思います。
最初のリプは、当時の自分の仕事(開発管理の仕事)でのポリシー
「ミスをした担当者の責任を追及し、反省させると開発が遅れる。責任は問わない方が良い。」
に合致するものだと有頂天になったまま書き込んだものです。
ちなみに、この立場で本書の紹介を
mixi日記に記しました。
先ほど当Hatena Blogでの僕の別ブログ
daniel-yangのブログ
に、転記しました。
「責任を追及すると、開発日程が遅れます。」
その後、夜でしたが、近所の遅くまでやっている本屋さんに足を運び、この本を購入しました。
次のリプで、無謀にも(ていうか、迷惑だろうけれど)「買ってきたよ。」と報告しています。
麻木さん、ブロックせずにいてくれてありがとうございますm(v_v)m
で、この一週間後に僕は引っ越しをして、
高知県にやってきました。
ようやく読み終わって、先ずは
「皆にお勧めせねば」
とレビューの練習にと思い、書いたのが
mixi日記です。
すごく警戒しています。
「人として反省するのが当たり前だろう。反省させろ。」
とか、
「先ずは謝るべきだろう。」
とか、
言う人が多いよね。と警戒していたのですが、どうやら、杞憂だったようです。
当時既に
amazonには優れたレビューが書かれて、本書の趣旨をよく読み取り、高い評価を得ていました。
そこで、僕が、頑張ってお勧めしなくても良いであろう。と判断し、本書を手にとって多くの人が持つであろう驚きを装って
amazon向けレビューを書きました。
そうです。「びっくり!」と言うのは、僕の正直な感想ではありません。
僕の正直な感想は、
「当たり前だろう。」
「ようやく、この当たり前だけれど、世間が納得しない事柄を、説得力を持って訴えてくれる本が現れた。」
「嬉しい。」
です。
開発スケジュールの管理を仕事としていて、
仕事での失敗は、いちいち指摘しない方が良い。
と感じて、自分が仕事をするときの心がけとして、
座右の銘としていました。
ただ、このような管理手法が理解されずに悩んでました。
そんな時に、この本を紹介する麻木さんのツイートを読んだのでした。
・ 子供の小さな悪さに対して、反省だけを求めたら将来、犯罪者になる可能性が高くなる。
・ 受刑者に反省だけを求めると、多くの場合期待した反省をするが、そのように適応力のある受刑者は、
再犯率が高い。
「そうか。犯罪に関しても、僕が開発管理業務で感じていたようなメ
カニズムがあるのだなぁ。」
が、正直な感想です。
そして、僕より先に本を読み終えた人が、よく理解し、納得し、高く評価していたので、
「まだまだ、この世の中は捨てたものではないな。」
と、嬉しくなりました。
広島女性遺棄事件の容疑者が出頭した事を伝える記事であり、ちょうど本書で「
再犯率が高くなる。」と指摘されている
「とにかく、先ず反省してもらいたい。」
趣旨で書かれたニュース記事でした。そこで、これも本書をネタに日記にしました。
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以上のように、この本には大変思い入れがあります。
是非とも、たくさんの方に読んでもらいたいのです。
でも僕は経験上「反省させるのが当たり前だろう。」「人として謝るのが筋だろう。」と言う人には、何を言っても無駄だと言うことを知っています。
ですので、無理に勧めません。
読んだ人は、その後、より豊かな人生を歩むだろうとは思いますが、それも本人次第です。
また、
「反省させるのが当たり前だろう。」
と言う人が幅をきかせている人の集まりからは、距離を置くのがよろしいかと思います。
そんなところに未来はありませんから。