荒れくるう海をただよう一艘の帆船。乗組員は十五人の少年たち嵐をきり抜け、たどりついたのは、故郷から遠くはなれた無人島だった!いつかくる助けを信じ、十五人は島での生活をはじめる。力を合わせ、知恵をしぼり、時にぶつかりながらも、たくましく生きる少年たち。やがて怪しい新参者が島にやって来て……。冒険小説の巨匠ヴェルヌによる、不屈の名作カバーの背表紙を転記
僕が読んだのは、1954年から三年間にわたって出版された創元社の「世界少年少女文学全集」37巻(フランス編(4)配本1955年)に三銃士物語(A.デューマ) (Alexandre Dumas 仏 1802~ 1870)宮崎嶺雄(1908~ 1980)訳
今買うなら、岩波少年文庫のこれかな。
とともに収録されたもので、石川湧(1906~ 1976)が原文から訳しています。その文庫版です。
初出については
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を参考にさせて頂きました。
八歳から十四歳まで十五人の少年が太平洋の無人島に漂着し、二年間のサバイバル生活の後親元に戻る冒険物語です。
少年たちは、当時イギリスの植民地だったニュージーランドの首府オークランドの寄宿学校チェアマンに通う生徒です。この学校は本国と同じような教育を受けられることがうたい文句の学校で、イギリス人の他、フランス人、アメリカ人、ドイツ人の上流階級の子供たちが通っています。
冒頭では、フランス人読者(少年たち)向けに「イギリスの学校では……。」と、たびたび外国の習慣を引き合いに出しての説教くさいところがあります。が、全体を通しては、遭難に際して一人の脱落者も出さず、健康に、心身共に成長して帰国する少年たちを説得力のあるエピソードと描写で描いた面白い作品だと思いました。
寝食の事など、技術的な事よりも、協力できる人間関係を維持することがサバイバルで重要な事だと、読んでしみじみ思う読後感です。
2006年 9月30日
No. 459
No. 459