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受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 488 遺伝子が解く! その愛は、損か、得か/ 竹内久美子 著 を読みました。

主に文藝春秋週刊文春連載(今は「 ドコバラ!」)からの単行本化第六弾。 タイトルの「千鶴子には見えていた!」は第三章「こんなことも、あんなことも。いろいろあります、人間ですから」全十節の第四節「透視は、あっても不思議はない」からです。 明治の末、東京帝国大学助教授、福来友吉によって紹介された透視能力を持つ御船千鶴子の研究の顛末を紹介しています。タイトルの印象(著者が透視の実在を希薄な証拠を元に主張しているのではないか、と危ぶまれる印象)とは違って、研究がまともに実施されぬままインチキとして葬り去られた事を惜しむ内容です。
この項を読んで、僕は、たしかリチャード・ドーキンス(Richard Dawkins 1941~英)の第三主著「ブラインド・ウォッチメイカー 自然淘汰は偶然か?」早川書房1993/10/15)
ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈下〉

ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈下〉

 
ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈上〉

ブラインド・ウォッチメイカー―自然淘汰は偶然か?〈上〉

 
で、ネッシーの存在について述べていたのを思い出しました。その主旨は「存在を肯定するものでも、否定するものでもない。もし、ネッシーが恐竜の生き残りとして実在するのであれば、ネス湖という限られた生息域で、大きな体の生物が、連綿と種を繋いできたその特殊な生態を知りたい。」と言うような内容でした(と記憶しています。)
希薄な理由を元に簡単に超常現象を信じてしまう人がいる一方で、説明が付かないことを「インチキ」と簡単に片づけてしまう事もあります。どちらも、残念なことなんだなぁ。と読みました。

 

本書のタイトルは、そんな次第ですが、この一冊全体は、このタイトルとはだいぶ印象を異にしています。
第一章「たかがセックス、やっぱりセックス!」では、いろいろな生物の生殖を、
第二章「真似したい?真似したくない?動物たちの羨ましい生態」では、いろいろな生物の生態、特技を、
第三章「こんなことも、あんなことも。いろいろあります、人間ですから」では、人の様々な行動を生物学的に考えてます。
第四章「奇妙な動物大集合!地球は誰のもの?」では、いろいろな動物の奇妙な生態を、
第五章「美しく咲き誇るだけではない植物たちの現実」では、植物についてのいろいろ。
第六章「陸、海、空  。ムシ、トリ、サカナだって大活躍」では、主に昆虫について。
今までの著者の持ち味を思う存分楽しめる内容です。

 

末尾の著者デビュー秘話とでも言うべき「(番外編その2)まさに一期一会ドーキンス利己的な遺伝子』との出会い」は、古いファンにとっては嬉しいおまけでした。
第二章末「あなたの理系度チェックシート」で、僕は50点、中庸でした。思った通り、中途半端な理系な、自分を確認した次第です。

2007年 3月18日
No.488

文庫を買いました。この本に収録されているところまでで「ズバリ、答えましょう」は最終回を迎え、次号収録分からは「ドコバラ!」として連載されているそうです。

文庫の解説は、本文イラストを長らく担当した寄籐文平。本書の趣旨にあった、生物学に接する態度=つまりは、良好なサイエンス・リテラシーを身に付けたひとのありようが良く表現されているように感じました。心地よい解説です。
なお、解説では、あたかも「これでオシマイ。」のような「ズバリ、答えましょう」最終回(のイラスト描画)エピソードが紹介されいますが、寄藤文平は「ドコバラ!」でも、引き続きイラストを担当されています。