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受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 506 「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い 禁じられた数字(下)/山田真哉著 を読みました。

前作「食い逃げされてもバイトは雇うな-禁じられた数字<上>」光文社新書2007/04/20)
の下巻です。
前作を読んでの感想が、数字のテクニックに偏りすぎていたように感じ、本書(下巻)を買い控えておりましたが、二月に出版されてから、三ヶ月後の五月に購入しました。そして、さらに四ヶ月積んでいたのですが、気が向いたので今月読みました。
なぜ、買い控え、積ん読(つんどく)状態にしていたかと言うと、その原因は、前作(上巻)です。特に会計上「こんなのが『あり』なのか!」と言う商売の例としてあげられた、名簿販売(おそらく、現在は個人情報保護法違反になる違法行為です)の紹介を不愉快に思い、僕には「法律で禁止される前に禁止されそうな事をするのが、株で成功する秘訣だ」と語った(と、伝え聞く)J.F.ケネディ(1917~1963米国第35代大統領)の父親=J.P.ケネディ(1988~1969米)の信奉者のように感じられて買い控え、読み控えていたわけです。おそらく、現在サラリーマンをしている人なら、このような「脱法行為」(J.P.ケネディの場合は、空売りインサイダー取引など)は、たとえそのとき法律で禁止されていなくても、金儲けの手段として用いることを考えないと思います。
しかしながら、新書なので、買いやすく(「上巻を買って読んだし……」。と言う程度の動機で買える。)、読んでいなくても気にならず、結構ですね。なおかつ、ふと、気が向いて読み始めたら、さらりと読める内容で、あっという間に読み終えてしまいました。
さらりと読み終えたのは、本書が面白かったからです。

 

本書の冒頭で、前作を否定しています。(タイトル自体、前作を否定していたのですが)「はじめに 宝くじは有楽町で買うべきか否か」で、「なるほど、前作は著者の主張では無く、前置きだったのだな。」と、僕の印象が変わりました。
そして、著者が読者に伝えようとしている内容が、社会人として円熟した紳士的な側面をもった内容であり、また、チャレンジ精神に旺盛であり、物事の認識、捉え方に示唆に富んだ内容であり、満足しました。

 

今回は、本書の内容について、細かく感想を述べませんが、特に印象に残ったのは、冒頭の「宝くじは有楽町で買うべきか否か」です。著者がズバリ出した結論は、「僕は数字に強い。」と思っていた僕には、意外と下せない結論でした。「参った」と言いたくなる思いでした。

また、帯のセールストーク「計画は立てるな」は主に第2章「天才CFOよりグラビアアイドルに学べ」で語られるのですが、ほぼ、毎日「計画を立てる」仕事をしている僕にとって、その意味を考えさせられ面白かったです。
ちなみに、僕の仕事は、「開発計画を立案する。」「開発中に、実情にあわせて計画を修正しながら、各部署の仕事を調整する。」「最終的に量産部署に引き渡す」と言うようなものです。この仕事を、僕は「いずれは、機械にできるようになる。」仕事だと考えており、しかしながら現状では、人間がやるほうが効率が良いから、僕の飯の種になっている。と思いながら仕事をしています。実際、毎日仕事に関係する様々な立場の人(企画した人、設計する人、試作する人、量産計画をしている人、事業計画を管理している人など)から、不具合を聞いて、対策を考えていると、自分がロボットになったような気がします。実際に、ロボットになったつもりでいないと勤まらない仕事で、(それぞれの立場の人は、みな自分の仕事に責任を持って全力で取り組んでいる事が前提だからなのですが)立案した計画を否定されても、ショックに感じすぎないように心がけます。突飛な意見や自分勝手な考えを提案されても、まずは話を聞いてみます。無理を言われても、不平を言わず、実現可能な方法を考えます。計画通りに運ばなくても、現場の裁量や、前後の仕事でカバーできるうちは、全く問題にしません。失敗があっても、責任を問わないで挽回策を考えます。こんな仕事をしている僕に本書の「計画は立てるな」が大変参考になりました。どんなふうに役に立ったかを、この本を読んだ方と語り合いたい読後感でした。
2008年9月18日
No.506