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受動態

Daniel Yangの読書日記

No. 529 女子大生会計士、はじめました~藤原萌実と謎のプレジデント/山田真哉 著 を読みました。

同じ会計事務所に勤務する、女子大生兼公認会計士の藤原萌実と新人公認会計士補のカッキーこと柿本一麻のコンビが、クライアントの監査で出くわす事件に対応する経済ミステリー第五弾にして、発端編を含む文庫オリジナルです。

アキハバラ会計士遁走曲(フーガ)>事件  インターネット販売の話  
株式上場を控えるPCショップ「カイタケーダー」に予備調査に向かう萌実とカッキー。
会計士としての仕事の他、事件に臨む二人の活躍が楽しい一遍でした。
<藤原萌実と謎のプレジデント>事件  投資と詐欺の話  
第一章 カッキーと秘密の部屋
後鳥羽運輸へ現物調査に一人で出向いたカッキー。そこで、萌実に(あまり)頼らず、仕事に精を出す姿がほほえましい前編でした。
第二章 萌さんと不死鳥の騎士団
後鳥羽運輸社長の求めに応じて、彼の投資先を調べた萌実の活躍。
投資詐欺の典型例を紹介し、それを萌実の(タカビーな女子大生会計士と言う)キャラクターが解決した内容は、著者の面目躍如と言うべき内容だと感じ、楽しく読めた表題作でした。
なかがき対談
編集者との対談で、本シリーズ、および本シリーズ初の文庫オリジナルの解説になっています。
<逆粉飾の殺人>事件  逆粉飾の話  
半導体や計測機器の開発・製造・販売を手がける新興企業「キソープライム」を監査する萌実とカッキー、加えて代表社員の山本の三人。
本シリーズ初の殺人事件は、読み応えのある本格的ミステリーでした。
<萌実版 ヴェニスの商人>事件  冒険会計の話  
同じ監査法人の仲間を集めて、公認会計士協会の広報活動として、お芝居を提案した藤原萌実。劇はシェイクスピア(英1564~1616、劇作家)の喜劇「ヴェニスの商人
一応、古典のおさらいが出来た上に、当時の航海の会計的解釈も知ることが出来て楽しい一遍でした。萌実のキャラも立っていました(笑)
<女子大生会計士、はじめました>事件  むかしの話  
藤原萌実が史上最年少で会計士となり、監査法人に採用された当初のお話しで、本書のための書き下ろしです。
職場が学校と大きく違うのは、(僕の個人的な意見ですが)基本的には、チームワークではないかと思います。(学校でもチームワークを学ぶ機会もあると思いますし、会社でも業績が個人で評価されますが)基本的には、誰かが良い仕事をして、会社が利益を上げれば、それに直接関係しない他の職場のメンバーもウェルカムなのです。同じ会社の中で他人を蹴落とし、出し抜いて、などとチームワークがうまく機能していない例がドラマなどで、目にしますが、これは特殊例。社内の派閥争いなども、今はそんな余裕がある企業は少ないのでは? と最近僕はつくづくと思います。そう言う意味で、ディベートに強い人がその能力を発揮できる場は少なく、又は全く必要が無いのではないかと思っているのですが、それは、いずれ別の場所でゆっくりと文章にまとめてみたいと思います。
繰り返しになりますが、基本的には隣の人でも、他部署の人でも、同じ組織に勤めている人は共通の利益を持っている、と、考えると、学校を卒業して仕事に就くのが楽しみになりませんか? 本書のおまけファイル2、最終章のこの物語<女子大生会計士、はじめました>は、そんな学校とは違う、職場のチームワークを楽しい物語にした佳作だと思いました。
2010年5月29日
No.529